将来的には一括送信のメルマガをやめる
このことからも、顧客は自分に関係したメールは見るということが言える。しかしそれは裏を返せば、人によって送るべきメールは異なるということだ。
それについて、西井氏は「私たちが考えるメールマーケティングの理想像は、将来的には一括送信のメルマガをやめることです。つまりメールはすべてOne to Oneにする、ということです」と語る。その具体的な実現方法として、西井氏は4つのプロセスを提示する。
1.メールアドレス、ユーザー情報を取得する
2.ユーザー別にシナリオを組み、タイミングを具体的に指定する
3.ユーザーにあったクリエイティブのメールを制作する
4.システム設定と配信結果の可視化
このプロセスにおいて、最も大事なのは「タイミングに合わせて、ユーザーに合ったクリエイティブのメールを送ること」と西井氏は言う。しかし、同社が作成したユーザー別のシナリオは、現在でおよそ300パターンにのぼるという。さらに発展させるには、シナリオと条件を考える「マーケティング脳」、シナリオにあったクリエイティブを制作する「クリエイティブ脳」、配信設定を行い、配信結果を見て再度実行に移す「システム脳」をバランスよく使わなければならない。これらを発展させつつも、効率的に管理するために、同社はエクスペリアンジャパンの提供するキャンペーンマネジメントシステム 「MailPublisher suite」 を導入した。
「キャンペーンは効果検証が重要ですが、これまでは開封率やクリック率を集めるだけでもとても大変でした。ツールを導入することで、クリック率の可視化も、施策の修正も簡単になりました。先ほど述べた3つの『脳』を社内にすべて持っているというのも、パートナーとして選んだ重要なポイントです。また、メールを使ったキャンペーンを実行するうえで絶対に外せない『到達率』においても、これまでエクスペリアンジャパン社の 「MailPublisher」 を使ってきた実績から信頼を置いています」
今日、様々なキャンペーンマネジメントシステムのツールが登場している。ツールの選定基準としては、効果が可視化できること、施策の修正が簡単なこと、そしてマーケターが容易に使いこなせることがあげられる。 「MailPublisher suite」 の場合は、それに加えて、モバイル配信の到達率の高さ、ツールを提供するエクスペリアンジャパンがただのツールベンダーではなく、シナリオ設計、データ設計、さらにはクリエイティブまで支援できる企業であることが特長であり、同社が選定したポイントであると述べた。
メルマガ時代から、メールマーケティング時代へ
「時代は、メルマガ時代から、メールマーケティング時代に移行している」と西井氏は語る。「メルマガ時代は、リストをひたすら入手し、売れるキャッチコピーを研究していました。でもメールマーケティング時代は、ドクターシーラボからのメールをお客様にとって『毎回読むメール』と位置づけてもらうことが大切だと思っています。ショッキングな件名を多く作るより、購入履歴や属性情報、購入履歴をもとにしたシナリオを増やしていきます。シナリオを増やすためには、サイト内で購入以外のアクションを増やすような施策を打っていくことが大切でしょう。結果、インタラクティブなサイト作りが必要というところに立ち戻っていきます」
以前、西井氏はエクスペリアンジャパンの中澤氏と行った対談で、ドクターシーラボが目指す「おもてなしEコマース」について語っていた。(対談記事はこちら)「今後もお客様とのコミュニケーションを重視し、おもてなしをすることで、関係性を築いていきたいと思っています」と西井氏は講演を締めくくった。