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MarkeZine Day 2025 Autumn

石谷聡史と考える統合マーケティング・コミュニケーションの未来

「店舗・Web・SNSの融合から、新しい“MUJI体験”を創出」─ 良品計画 川名常海氏

無印良品の統合マーケティングを突き詰めると店頭につながった

 ―― 近年は、ソーシャルメディアを効果的に活用しているブランドとして無印良品が取り上げられることも多いと思います。ソーシャルメディアの活用は、どのようなビジョンで行われているのですか?

 先ほどお話した、店舗とネットストアの行き来に加えて、お客様が日常的に接触する機会としてSNSが加わりました。そこでの口コミなどの会話に、行動が影響されている現状があります。なのでますます、購買の瞬間の前後が大事だと考えています。

 こちらの伝えたいメッセージをストレートに表現できる広告と違って、SNSで話されることはこちらはコントロールできませんが、その声に耳を傾けることはいくらでもできる。以前はお金をかけての調査が必要でしたが、それが不要になった点は大きいですね。

ソーシャルメディア登場以前の顧客の行動
ソーシャルメディア登場以前の顧客の行動
ソーシャルメディア登場以降の顧客の行動
ソーシャルメディア登場以降の顧客の行動

 ――そうですね。ただ、見せていただいた図を拝見すると、リアルな店舗とオンラインが融合し顧客が行き来するにつれて、業務の範囲も分けにくくなってくるように感じますが……。

 おっしゃる通りで、現在の私たちの部隊は本当にいろいろなことをカバーしていると思います。特に当社は、最初にお話した通り「店舗での体験が大事だ」という考えがベースにあるので、もちろん終始オンラインに滞在し決済していただいてもいいのですが、やはり店舗につなげて世界観を感じてほしいと思っています。そうすると、おのずと現場にも出ていくことになる。でしゃばっていますね(笑)。

 ――なるほど(笑)。そういう考えで柔軟に取り組まれていることが、統合マーケティングに注目した本連載にご登場いただいた理由でもあるのですが。例えば最近、店舗とネットを融合させた施策には、どのような事例がありますか?

 昨年秋のセーターのプロモーションで、Facebook上の「いいね!」を旗艦店の有楽町店にてリアルタイム表示する企画「KNIT Like COLLECTION」を行いました。「いいね!」数を店舗でもリアルで確認できるシステム「いいね!カウンター」を使った、日本初の取り組みでした。無印良品のFacebook上にお勧めのコーディネートを10体掲示し、「いいね!」数で投票してもらいながら、同じコーディネートを店頭でも展開してその数をカウンターで示しました。

 SNSが一般化したといっても、無印良品には本当に幅広い方が来店されているので、ネットが日常に入り込んでいない人もまだ大勢います。でも、せっかくオンラインで創出できる盛り上がりを、店頭でもエンターテインメント性をもって表現できないかと考えて、企画したんです。カウンターだけでは気づきにくいので、店内に階段状の木琴を作り、Facebookで「いいね!」が押されるたびに木のボールがその上を跳ねて音が鳴る仕掛けも設けました。

「いいね!カウンター」を採用した「KNIT Like COLLECTION」。
木琴の仕掛けでオンラインとのリアルな連動を感じさせた(参照元:プレスリリース
「いいね!カウンター」を採用した「KNIT Like COLLECTION」。木琴の仕掛けでオンラインとのリアルな連動を感じさせた(参照元:プレスリリース)

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店舗のリアルな力を使って、拡散するファクトを作る

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石谷 聡史(イシガイ サトシ)

株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/14 14:00 https://markezine.jp/article/detail/18634

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