SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

石谷聡史と考える統合マーケティング・コミュニケーションの未来

「店舗・Web・SNSの融合から、新しい“MUJI体験”を創出」─ 良品計画 川名常海氏

  “IMC”、 “トリプルメディア”、“OtoO”など、マーケティング・コミュニケーションの統合を表すキーワードは時代ごとに変化をしていますが、その本質は実は変わらないのかもしれません。デジタルやテクノロジーが進展し仕事が細分化している今、幅広い視野をもって仕事を進めるためには、どのような思考を身につけると良いのでしょうか? 電通 プラットフォーム・ビジネス局 のコミュニケーション・プランナー石谷聡史氏が聞く本連載。今回は、顧客志向のブランドの代名詞のようにも語られる「無印良品」にて、デジタル分野に携わる川名常海氏にお話を伺いました。

今回お話を伺ったのは…
株式会社良品計画 WEB事業部 
WEB製作担当(兼)コミュニティー担当 課長 川名常海氏
92年良品計画入社。92年より企画室にて宣伝販促業務を担当。04年より現在のWEB事業部に所属。ECサイト「無印良品ネットストア」を担当後、顧客との共創を目的としたコミュニティサイト「くらしの良品研究所」、ソーシャルメディアマーケティングなど無印良品のデジタルマーケティング全体を統括。特にオンライン・トゥー・オフライン視点でのコミュニケーション展開が評価され、TIAA、文化庁メディア芸術祭、モバイル広告大賞等受賞。
インタビュアー
株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー 
石谷(いしがい)聡史氏

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

店舗とネットストアの溝を埋めた“できちゃった作戦”

 ―― ちょうど1年ほど前、MarkeZine Dayにてパネルディスカッションをさせていただいたんですが、その時「MUJIデジタルマーケティング3.0」と題した基調講演で川名さんのお話を聞きました(参考情報)。デジタルマーケティングをいかに取り入れて無印良品ブランドを成長させているかが非常に印象的だったのですが、今日はその後の変革も含めて伺えたらと思い、お邪魔しました。川名さんは、良品計画には新卒入社以来ずっといらっしゃるのですね。

 ええ。92年に入社し、店舗を経てすぐに宣伝販促の部門へ行き、94年頃からデジタル領域に移りました。他のいろいろな企業に比べても、当社はかなり早いタイミングでデジタルを重視していたと思います。

 2000年に「無印良品ネットストア」をオープンしてからは、オンラインでの売上の確立が主なミッションでした。ネット人口が増えるにつれてユーザーは多くなりましたが、やはり当社の主軸は店舗販売であり、私たちも無印良品の世界観を伝えるには店舗での体験が大事だと思っています。

写真左:川名常海氏 写真右:石谷聡史氏

 ―― 実店舗とオンラインの2つの売り場を持つ小売業態の場合、どうしても店舗vsオンラインのような構図になりがちだという話は、各所で耳にします。無印良品でもやはり、店舗との融合が大きな課題になったのでしょうか?

 そうですね。私としても、いち担当者としてネットストアの売上向上と店舗への送客の両方を言われていたので、矛盾を感じることもありました。

 その中で2001年、ネット上に現在の「くらしの良品研究所」の前身となるコミュニティを立ち上げて、顧客の声を活かした商品開発もスタートしたのですが、当時はまだお客様の本当の購買行動がつかめていませんでした。店舗の購買層とネットストアの購買層は別だと思っていたのですが、実は同じだったんですね。

 お客様は我々が考えているよりもずっとスムーズに、店舗とネットストアを行き来していました。我々も考えてみれば、最終的にどちらで決済していただいてもいいので、場所にこだわらずに、お客様にとって最適な購買行動を作ることを目指そうと思ったのです。今でいうO2Oの発想ですね。

 ―― なるほど。その気づきは、店舗にも難なく受け入れられたのでしょうか?

 いえ、そこは簡単にはいかなくて。理屈だけで「ネットストアに売上がついてしまう」といった視点を店舗から拭うのは無理だと思いました。店舗とネットストアの売上は反比例ではなく比例するのだ、相乗効果が上がるんだと体感してもらうことが大事だと考えて行ったのが、名付けて“子供できちゃった作戦”です。

 ―― つまり、結果を先に見せると。

 そうです(笑)。今考えれば単純な一方通行のO2Oですが、「無印良品週間」と題してネット会員化を促進し、店舗に行けばクーポンが使えるという送客の仕掛けをしました。それが店舗の売上に貢献したことで、社内の意識は随分変わったと思います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
無印良品の統合マーケティングを突き詰めると店頭につながった

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
石谷聡史と考える統合マーケティング・コミュニケーションの未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

石谷 聡史(イシガイ サトシ)

株式会社電通 プラットフォーム・ビジネス局 コミュニケーション・プランナー

さまざまな企業の統合マーケティング戦略のコンサルティング・プランニング業務を行なう一方、コンタクトポイント・クロスメディア・PDCAなどマーケティング・コンバージェンスに関連する新しい手法開発にも従事。『クロスイッチ-電通式クロスメディアコミュニケーションのつくりかた-』(ダイヤモンド社)やクロスイッチを元にした英語書籍『The Dentsu Way』(McGraw-Hill)を中心となって企画・執筆。中国・韓国・タイでも翻訳本が出版される。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/11/14 14:00 https://markezine.jp/article/detail/18634

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング