テクノロジーがマーケティングにもたらしたもの
―― 15周年おめでとうございます。この15年を振り返ってみた感想をまず聞かせてください。
私はデジタルマーケティング領域に関わりはじめて20年ほど経ちます。おかげさまでその間レスポンシスは成長を続け、米国、ヨーロッパはもちろん、日本、タイ、シンガポールといったアジアの企業との取引も増えている状況です。
この15年で何が変わったのか? という点についてですが、そうですね様々なトピックが挙げられると思いますが、あえて挙げるのならユーザーの行動が劇的に変わりましたよね。特に近年はスマートフォンの急速な普及でユーザーの行動パターンが日々変化していて、マーケターはそれのキャッチアップに四苦八苦している状況だと感じます。オムニチャネルといった言葉を耳にする機会も増え、ユーザーのことをより捉えずらい時代になっています。
振り返ってみれば、インターネットが普及したデジタルマーケティングの黎明期においては、インターネットを介したマーケティングという手法自体は新しかったのですが、ユーザーとのコミュニケーションのとり方は実はそれまでとあまり変わりはなく、「同じ内容をたくさんの人に送る」というものでした。それが、アマゾンのレコメンドのような個人の興味関心に基づいたコミュニケーションが可能となり、さらに現在は単一チャネルではなく、クロスチャネルで個人の興味関心に基づいたコミュニケーションが必要というフェーズにうつってきています。この流れは止まりません、なぜならユーザーがそれを求めているからです。
―― なるほど。ユーザーが変わったという点に加え、この15年でマーケティング領域へのテクノロジー活用も飛躍的に進んだ印象です。
そうですね。クロスチャネル対応やパーソナライズといった課題は人手で解決することは現実的には不可能です。つまり、マーケティング領域へのテクノロジー活用は必然の流れだと思います。ただ、テクノロジーがマーケティング上の課題を全て解決できるわけではありませんから、人とテクノロジーの役割分担を上手く調整していくフェーズに入っているのではないでしょうか。
テクノロジーはマーケティング領域に何をもたらしたのか。もちろん先に述べたように、データに基づいたパーソナライズでのコミュニケーションの実現が挙げられますが、それと同じぐらい大切な点は、複数チャネルをまたぐ大規模なマーケティングの実行を可能としたことではないでしょうか。チャネルごとの施策実行はテクノロジーなしでは考えられません。各チャネルごとのユーザーが求めているコミュニケーションを実行するためには、テクノロジーが必要なのです。
レスポンシスはその点にいち早く気づきました。加えてキャンペーン(施策)ごとのマーケティングではなく、顧客起点のマーケティングが実行できるプラットフォームとして支持を受けたので、成長を続けることができているのだと思います。