レビューメディアの価値と役割
ノンインセンティブプロモーションの代表的な成果は、アプリのレビューメディアへの掲載だ。特に有力メディアには、ユーザーがアプリをインストールするに当たっての必要な判断材料がそろっており、自ずと利用意向の高いユーザーが多く集まってくるという。
「レビューサイトには、ユーザーがアプリの利用シーンや面白さを瞬時にイメージできてインストールにつなげられるかどうかが求められています。弊社が運営する『Appliv(アプリヴ)』でも、2万以上のアプリを目的ごとに1,500のカテゴリーに分類してターゲットを明確化しています。『記事を読んでダウンロードしてみたらつまらなかった』ということがないように、記事ではただ機能を説明するのではなく、そのアプリでどんな体験ができるかを明示した上で、ユーザーに納得してインストールしてもらうのがレビューメディアの役割だと考えています」(高階氏)
実際、ユーザーが無料アプリを選ぶ際に参考にする情報として、アプリ紹介サイトのレビュー記事が、知人の口コミやソーシャルメディアでの投稿などを抑えて、最も高くなっているという調査結果も出ている。
「また、アプリレビューメディアは様々な立場のデベロッパーに活用していただけるのも利点です。プロモーション予算が潤沢にある大手の場合は、リワード広告で初期インストール数を稼いだ後に、アクティブ率を維持するために活用できます。一方で、アプリの広告予算をあまりかけられない中小企業や個人の場合は、ユーザーを獲得するためのPR施策として活用することができます。メディアとしては、面白いアプリであれば進んで紹介するので、予算の有無にかかわらず、全てのアプリに対して平等な土壌とも言えます」(高階氏)
どうすればレビューメディアに掲載されるのか?
レビューメディアに掲載されるには、主に無料の記事掲載と有料の記事広告がある。まずは無料の記事掲載を狙い、プレスリリース等で新作アプリの情報を伝えるべきだが、ここで重要なポイントが2つあるという。
「1つは、レビューメディアとの窓口を作っておくことです。大きなメディアになるほど、1日に何十件ものプレスリリースが届くので、とても確認しきれません。特にinfoや問い合わせフォームからのメールはスルーされる可能性が高いため、そこへ送付するのは好ましくないでしょう。プレスリリース用のメールアドレスを用意しているメディアも多いので、担当者の名前とともにリスト化しておくと良いですね。
2つ目は、アプリのUSP(Unique Selling Proposition)を明示することです。レビューメディアは、常に面白いアプリ、これから流行るアプリを求めて情報収集しています。ただ“アプリを作ったのでレビューしてください”では、面白いかどうかわかりません。そのため、あらかじめターゲットや独自の強み、類似アプリとの違いをわかりやすく明記しておくことが望ましいです。できれば、なぜこのアプリを作ったのか等の開発経緯も記載しておくといいですね。無料掲載の確率が上がるだけでなく、ユーザーが読んだ場合にも利用シーンをイメージしやすい、質の高いレビューにつながります」(高階氏)