名詞調査で何がわかる?
前ページの関連語を円グラフで表現してみると、主に違いの出たカテゴリーは、食事と飲料の割合である(図3)。
それぞれの商品名における関連語の中から名詞をピックアップし、
9つ(脂肪・ダイエット、食事、飲料、場所、味、CM、おまけ、広告、その他)にカテゴリー分けした。
その結果を円グラフに表示。括弧内の数値は円グラフ作成に用いた名詞の総出現数。
前ページでも述べたが黒烏龍茶はごはん、ヨーグルト、ひじき、おやつなど、食事話題と共に語られる事が多い。ここでより明快に「その食事の脂肪吸収を抑える」というキャッチフレーズが響いている事を量的に示す事ができる。
一方ヘルシア緑茶ではその特徴が見られず、他のトクホ飲料と比較される事が多いようだ。ヘルシア緑茶はトクホ飲料のスタンダードとなっているようである。更に、トクホと関係のない伊右衛門を見てみると、オマケに関する書込みが多く見られる。
これは最近のペットボトルのお茶によく見られるキャンペーンの傾向で、生茶のパンダのオマケがヒットしたせいかどうかは分からないが、お茶におまけをつけ話題量を獲得するという戦略が目立つ。
おわりに
実際の調査ではクライアントの仮説があり、比較したい軸があるので、もう少し複雑になるだろう。今回は簡単にいくつかの調査を行ったに過ぎない。それでも黒烏龍茶に関して多くの事が分かった。特に「その食事の脂肪吸収を抑える」というのは消費者にヒットしているようであり、ブログの書込みから消費者の購買に繋がっているようだというという仮説を得た。
さて、冒頭で、クライアントはブログに書かれる悪口を知りたがっているとか、正確なキャンペーン効果を見たがっていると述べた。
多くのキャンペーン調査をしていて思った事だが、クライアントはただ正直なだけのレポートを必要としているわけではない。調査を始めるとき彼らはもちろん、正直なレポートを欲しがる。
しかし彼らのほとんどが最終的に必要としているのは「キャンペーンがうまくいった事に関する根拠」なのだ。今回、僕が勝手に調べた黒烏龍茶のように、良い結果が得られれば僕もクライアントもハッピーだが、そうでない場合は苦労する。1つの提案は、正確なレポートの中にクライアントに希望を持たせてあげる内容を入れる事だ。ただ、調査では絶対に嘘をついてはいけない。嘘をつかずにクライアントに希望を持たせるには、調査設計が重要となり、そこにもっとも時間がかかる。
できれば、色々な視点で調査を行い、良い調査結果をレポーティングに混ぜてあげると良い。例えば「インパクトはなかったけど、多くの人がポジティブに書き込んでいた」というような結論を導ける調査設計が必要である。それが無理なら所感、考察のなかにキャンペーンの良い点をさりげなく混ぜる必要があるだろう。キャンペーンを正確に調査し、そしてそのキャンペーンの良い面を探し、示す。それがキャンペーンの効果測定に重要なことではないだろうか。