リアルタイムデータによるOne-to-Oneコミュニケーション
CCCMで実現するもう一つのOne-to-Oneコミュニケーションは、「リアルタイムデータ」を使ったコミュニケーションです。(便宜的に「リアルタイムコミュニケーション」と呼ぶことにします。)
ここで「リアルタイムデータ」と呼んでいるのはWebアクセスログのようなリアルタイムで取得できるデータです。購買履歴のような「行動の結果」でなく、顧客の「行動そのもの」を示すデータだといえます。ただ、リアルタイムコミュニケーションといっても企業からのアプローチが瞬時に行われるとは限りません。顧客のリアルタイムデータに基づいて最適なアプローチをするというイメージです。
過去データによるOne-to-Oneコミュニケーションが既存顧客を対象とした従来のCRMの枠組みで行われるのに対して、リアルタイムコミュニケーションの対象は既存顧客とは限りません。中には初めてサイトに訪れてメールアドレスだけ登録し、cookieベースの足跡データを残した見込顧客もいます。
一般的にリアルタイムコミュニケーションの方が過去データによるものよりもずっと高い反応を得ることができます。
リアルタイムコミュニケーションの威力
Eコマースで最も典型的な例は、商品を「買い物かご」へ入れて、購入しないままサイトを離れた人にリマインドのために自動送信する「カート放棄フォローメール」です。後半の事例パートでご紹介していますが、ほとんど全てのタイプのECサイトで高い効果を期待できます(業態と規模によってはこのメールを送信するためだけにCCCMを導入しても元が取れます)。
その他にも特定の商品を複数回見ている人に送信する「商品閲覧フォローメール」や、「お気に入り」「欲しいものリスト」などに商品を保存した人に送る「ウィッシュリストフォローメール」など、顧客の行動や状況の変化に合わせた色々な手法があります。
リアルタイムコミュニケーションは、効率的でも絶対数が少ないので、さまざまな機会を捉えてプログラムを走らせる必要があります。CCCMによる自動化で数多くのプログラムを同時並行で走らせると、トータルで見れば一斉配信のメルマガをしのぐ効果を上げるようになります。
ちなみに国内で早くからCCCMを活用しているEコマース企業の中には、過去データによるものも含めてCCCMで自動化されたプログラムが優に100を超えるという例もあります。
Eメールマーケティングで、さまざまな顧客セグメントによるターゲティングアプローチを繰り返してきた経験から申し上げると、蓄積された過去データを分析してどんなに精緻な顧客セグメントを作っても顧客の行動データによるリアルタイムコミュニケーションにはかないません。
リアルタイムコミュニケーションは、体系化された顧客ロイヤリティプログラムや顧客セグメントをベースにした企業起点のコミュニケーションとは違って、今この瞬間の顧客の行動や気持ちの変化に対応するリアクション型のコミュニケーションです。

今の時代、顧客の関心は限りなく細分化していて、その時々で違うものに振り向けられています。いくら研ぎ澄まされたメッセージでも、顧客の関心が「こちらを向いていない」時にはなかなか届きません。顧客の関心が「こちらを向いている」瞬間をとらえて、最適なマーケティングメッセージを届けようとするのがリアルタイムコミュニケーションの考え方だといえます。