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クロスチャネルキャンペーンマネジメントの潮流

稼働後3か月でメール経由の売上が約50%増加!ITを活用したマーケティングでできること、その成果


 この連載ではマーケティングの自動化を実現するクロスチャネルキャンペーンマネジメント(CCCM)の基礎知識や最新トレンドを紹介していきます。3回目となる今回はCCCMを導入することで何ができるようになるのか紹介していきます。CCCMは製品によって機能やカバーする範囲がかなり違うので、最初に「何をやりたいか」が明確でないと候補の選定すらまともにできません。今回と次回はそもそも何のためにCCCMを導入するのかを考えてみたいと思います。

クロスチャネルOne-to-Oneマーケティングの実現を支援するCCCM

 平たくまとめてしまうと、CCCM(クロスチャネル・キャンペーンマネジメント/Cross Chanel Campaign Management)は、クロスチャネルでOne-to-Oneマーケティングを実現するためのソリューションです。

 One-to-Oneマーケティングは顧客一人一人のニーズや好みに合わせて商品やサービスを提供することで顧客満足を高めて長期的に商品の購入を続けてもらい、収益を最大化しようとするマーケティング戦略です。顧客との関係性を重視するリレーションシップマーケティングの一形態とも言えます。

 One-to-Oneといっても提供できる商品の種類は限られていますし、顧客のニーズや好みも結局はいくつかのセグメントに集約されます。

 しかし顧客の購買履歴や行動データなどから一人ひとりの顧客のことを理解し、その時顧客にとって最適と思われる商品をおすすめしたり、役立つ情報を提供すれば、企業は顧客との良好な関係を長期的に築くことができ、安定した収益を上げることができる(はずだ)という考え方が根底にあります。

 CCCMによるコミュニケーションの自動化も、省力化のためではなく顧客一人ひとりに最適なタイミングでアプローチするために必要な機能です。

 ソーシャルメディアが社会インフラとして定着し、顧客満足がクチコミとなって新規顧客獲得につながるようになった現在、顧客とのリレーションシップを重視するこのような考え方はますます重要性を増しています。

過去のデータによるOne-to-Oneコミュニケーション

 CCCMで実現するOne-to-Oneコミュニケーションは利用するデータの種類によって大きく2つに分けることができます。

 一つ目は購買履歴や属性情報など蓄積された過去のデータに基づいて行うコミュニケーションです。最も典型的な例が1990年代のCRMブームの時に広く導入されたロイヤリティプログラムのコミュニケーションですが、当時はまだインターネットのようなインフラもなくコンピューティングパワーも不足していて、構想通り実行することができたのはごく一握りの大企業でした。

過去のデータを使ったロイヤリティプログラムのイメージ
過去のデータを使ったロイヤリティプログラムのイメージ

 例えばEコマースの場合、RFM分析などによって優良顧客を判別し、優良顧客にはさらに利用してもらうための手厚い特典やサービスを提供します。

 購買をトリガーとしてその他のおすすめ商品を紹介したり、一定期間購入していない場合には「休眠顧客」になってしまう前にクーポンメールを送付して顧客の離反を防止します。

 ポイントが貯まってランクアップが近づくと「あと100ポイントでゴールド会員ですよ。」と教えてあげますし、ランクアップ後には「おめでとうございます!こんな特典をご利用いただけますよ」とさらに利用を促進します。

 他にもサイト全体のリピート率向上の鍵を握る2回目の購入を促進するための期間限定クーポンメールを初回購入直後に送信したりします。

 以上のようなプログラムを(実際はもっと色々なプログラムがありますが)顧客の購買データと保有ポイントのデータに基づいて全て自動実行するわけです。

 20年近く前から提唱されているCRM型コミュニケーションの典型ですが、口で言うのは簡単でも実現するのは本当に大変です。

 私は特にKPIの設定がポイントだと思います。メール配信1本あたりのCVRとかプログラムごとの売上効果だけを追いかけると目的を見失ってしまいます。本来は施策全体の効果としての顧客構造の変化を中長期的な視点で見ていく必要があります。

 このタイプのコミュニケーションのためには購買履歴や会員ランク、保有ポイントなどのCRM系データをCCCMに取り込む必要があります。CCCMによっては購買履歴から会員ランクを算出することもできますが、そこまでの機能がないものもあるので注意が必要です。

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この記事の著者

岡本 泰治(オカモトヤスハル)

 株式会社ディレクタス 代表取締役。リクルートを経て、ディレクタスを設立。数多くの大手企業のeCRM及びEメールマーケティングの戦略を立案し実行を支援。現在は複数チャネルを横断したクロスチャネル・マーケティングのためのコンサルティングとCCCMなどのツール提供、運用支援を行う。著書に『BtoC向けマーケティングオートメーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

谷米 竜馬(タニゴメ リョウマ)

株式会社ディレクタス マーケティンググループ リーダー 兼 アカウントマネジメントグループ コンサルタント

ハワイ大学生物学部を卒業後、京都大学再生医科学研究所にて脳発生の研究により医科学修士号を取得。卒業後は大手ECモール企業にて新規媒体開発やECコンサルタントを経て、現在はCRMに重点を置いたマーケ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/22 18:15 https://markezine.jp/article/detail/20426

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