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運用型広告時代の要!トレーディングデスク最前線(AD)

注目DSP事業社のキーパーソンと語る!(第1弾)プログラマティック・バイイング時代のマーケティング成功の一翼を担うトレーディングデスクへの期待

 広告主の運用型広告への投資が右肩上がりで増加している。その期待に応え、DSP/SSPを活用したRTB取引で成果を上げるためには、日々のトレーディングデスクにおける運用が何よりも重要だ。今回は注目のDSP事業社のキーパーソンと、トレーディングデスク事業を専門とするエスワンオーインタラクティブの高瀬大輔氏の3名で、プログラマティック・バイイングの現状と未来についてディスカッションを行った。

「RTB領域には確実に価値がある」

高瀬:エスワンオーインタラクティブは、運用型広告時代には欠かせない、トレーディングデスク事業に特化したビジネスを展開しています(トレーディングデスクについての関連記事はこちら。DSP事業者のみなさんと一緒に、弊社は実運用の面から、業界をさらに盛り上げていきたいと思っています。国内においても多数のDSPプレイヤーが出そろってきましたが、今日は注目DSP事業社のキーパーソンのお二方を招き、業界の現状と未来についてディスカッションしていきます。まず自己紹介を兼ねて、サービスの概略をご説明頂けますか。

株式会社エスワンオーインタラクティブ 取締役 高瀬大輔氏

田辺:プラットフォーム・ワンは、DSP(Demand Side Platform)とSSP(Supply Side Platform)の両方のサービスを提供しています。DSP「MarketOne」は、今では2,000社を超える広告主がRTB取引を行う規模にまで拡大していますが、2009年のリリース当時はまだRTB技術はなく、アドマーケットプレイスと称していました。マイクロアドの松田さんとはその頃からのお付き合いですね。

松田:そうですね、もう5年くらいでしょうか。

田辺:2011年に日本のRTB市場が立ち上がり、そこから「MarketOne」にも機能を付与していきました。それから3~4年経った今日、配信できる媒体の在庫も増えてきました。しかし、活用のされ方はパフォーマンス型がほとんどという状況ですので、広範囲でデジタルプロモーションに対応できるようなDSPにしようと、機能拡充を進めています。

松田:マイクロアドも、DSPとSSP、バイサイドとセルサイド双方のツールを提供しています。DSP「MicroAd BLADE」は2011年6月にサービスを開始し、今日では月間約1,000億インプレッション、また7,000社を超えるクライアントがこのプラットフォームを活用しています。CPAを重視したお客さまの利用が多いのですが、CPAだけにとらわれない領域にも挑んでいます

高瀬:マイクロアドさんのDSP事業の立ち上げは、早かったですよね。

松田: そうですね。RTBの領域には「確実に価値がある」と感じていたので、決断に時間はかからなかったですね。

高瀬:市場は急速に拡大していますし、それに伴い国内で提供されているDSPの数も増加しています。弊社でも、月平均で約25の国内外のDSP機能をもつ広告配信プラットフォームを運用しています。

課題はリターゲンティング偏重/アウェアネス(認知)領域での活用

高瀬:ところで、プログラマティック・バイイングにおいて、どのような課題を感じていますか?お二方それぞれの視点から、現状と課題についてお聞かせください。

松田:これは弊社の課題でもあるのですが、マーケット全体としてリターゲティングに偏重していることでしょうか。リターゲティングへの予算投下量は大きいですが、逆に言えばリターゲティング以外の領域で、特にデータを有効活用した広告配信の取り組みは十分に浸透しているとは言い難い状況です。

 我々は多くのデータを持っていますが、それらデータ活用の手段をうまくご提案できていないことも課題です。お客さまとしても、わかりやすいリターゲティングという目的に偏っているのかもしれません。ですから、リターゲティング以外でのデータ活用のご提案をしていくことで、リターゲティング偏重の現状を変えていく必要があるでしょう。

株式会社マイクロアド プロダクト開発部 部長 松田佑樹氏

田辺:5月にeMarketerが、米国の2014年業界別デジタル広告支出の内訳を発表していました。業界別に、ブランディングとダイレクト・レスポンス(パフォーマンス)の目的に分けた予算を調査したものですが、小売と旅行業界はダイレクト・レスポンス広告が約7割で、ブランディング広告は3割程度です。最もブランディング用途で予算を使っている消費財で65%でした。

田辺:日本でどうなのか、というのはありますが、パフォーマンス領域では、CriteoやGoogleのGDN、そして日本にもやってくるであろうamazonというディスプレイのビッグプレイヤーが存在しています。さらにそもそも検索連動型広告が圧倒的に強いですから、その領域だけをDSPの活動領域とすることは得策でないと考えています。言うは易しですが、ブランディング領域で、言い換えるとアウェアネス(認知)の領域における、DSPの活用手段を拡大・創出していきたいと考えています。

 現状ではDSPで配信する広告はバナーが中心ですが、エキスパンド型動画広告「LightBox(ライトボックス)」、記事内動画広告「In-Read(インリード)」など動画を活用したリッチな訴求表現のラインナップを拡充していくことも、一つの選択肢と考えています。そうすることで、ダイレクト・レスポンス領域以外でも、DSPを活用する意味・価値・機会を見い出していきたいです。

プログラマティック・バイイングで成果を上げる!日々の“運用”の信頼できるパートナー

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DSPを運用して成果を上げるポイントは?

高瀬:では、実際にDSPを運用して成果を上げるポイントを、サービス提供者側の視点から教えて頂けますか。

田辺:運用するときには、そのプロモーション全体のコンバージョンをみるべきですね。プロモーションの期間において、1つのDSPだけの運用結果で判断するのではなく、サーチのコンバージョンにどのような影響があったとか、一部分だけでなく、全体をみながら運用を行ってほしいですね。

株式会社プラットフォーム・ワン 常務執行役員 CPO 田辺雄樹氏

高瀬:実際にDSP単体の結果だけを見て、CPAが悪いから終了、CPAが良いのでご予算/配信量を増やすという話にはよくなりがちですが、それは違うということですね。ポートフォリオのマネージメントをしたいのであれば、枝葉のKPIにとらわれて短期的に判断するのではなく、全体パフォーマンスを上げていく視点を持つべきです。間接的な部分の効果も含めて、全体を最適化して結果的に母数が増えるかどうかを重要視すべきですね。

田辺:はい。そうしないと、剪定を前提とした先細りしていくだけの運用となってしまいます。あとは、結果が悪かったときの原因を探すだけでなく、良かったときの要因も追求すべきですね。その分析を横串で行うためにはDMPの活用も有用でしょう。

松田:弊社としては、我々のDSPが強みとする自動最適化をかけやすい設計をして頂きたいということです。データがある程度たまらないと最適化はできないので、データがたまりやすい設計をするのがポイントです。

 また、リターゲティングとオーディエンスターゲティングの両方を使って頂くことが多いのですが、CPAの結果だけを見て、結果的にリターゲティングだけに予算が偏ってしまうケースが多いです。リターゲティングはニーズが顕在化したユーザーへの施策、それに対してオーディエンスターゲティングは新規のユーザー獲得の施策なので、必然的にコンバージョンへの距離は異なるわけです。それを考慮した上で、バランスのよい運用をして頂ければと思います。

 オーディエンスターゲティングのほうが、リターゲティングと比較してCPAが悪いのは、目的が異なるので仕方ないことで、そもそも同じKPIで判断していいのかが疑問です。結局は、マーケティング全体の設計をきちんとやりきれているか、というところにつながるでしょう。

高瀬:つまり、それぞれの接点における意図とKPIをふまえたうえで全体設計を行い、総合的に目標を追っていくべきということですね。

プログラマティック・バイイングで成果を上げる肝は“日々の運用”

高瀬:先にも述べましたが、弊社は運用に特化した専門事業を展開しているわけですが、御社にも運用をフォローアップするチームなどはあるのでしょうか。

田辺: ありますよ。私自身も、まれに携わります。

松田:基本は代理店さまに運用をお願いしているのですが、子会社に代理店があるので、そこは自分達でやっていますね。

和気あいあいとした雰囲気で、ディスカッションは盛り上がりました◎

高瀬:マーケターの方々は、ご自身でもよく勉強されていますし、代理店も必死にキャッチアップしているので、運用の中身についてもよくご存知です。でも、それをエグゼキューションするのは大変ですよね。広告主が求める運用レベルが高度化していく中、マーケティング・トレーダーの育成が追いついていないのではとも思います。運用領域の人材育成についてはどのようにお考えですか?

田辺: 弊社では総合代理店のメディア部などと向き合ったり、お客さまとコミュニケーションをとったり、可能な限り案件に携わります。実際に運用を行うのは代理店ですが、ツールを提供して終わりではなく、二人三脚で一緒に取り組みます。

松田:「MicroAd BLADE」の運用でいうと最適化が肝なので、そのための虎の巻をつくって、それを参考にして使って頂いています。

高瀬:虎の巻があると便利ですよね。弊社も参考にさせてもらっています(笑)。

松田:虎の巻の中身は管理画面の使い方などは一部で、設計における考え方や運用のシナリオにフォーカスしたものになっています。

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拡大するプログラマティック・バイイングの領域

高瀬:これからは、プログラマティック・バイイングの領域はもはやディスプレイだけにとどまらず、デジタルサイネージやウェアラブル・デバイス、スマートテレビ、ひいてはIoTなど、ますます広がっていくでしょう。そのような環境の変化が予想される中、今後の方向性について教えて頂けますか。

松田:デジタルサイネージについては、昨年8月に設立した子会社「マイクロアドデジタルサイネージ」がすでに取り組んでいます。今まではオフラインで行っていた商流をデジタル化して、より効率的にリアルタイムに広告を出稿する方向に時代は進んでいます。また、スマートフォン、動画、純広などの領域においても、まだRTB化が十分に進んでいない部分はたくさんあるので、まずはそこに取り組んでいきます。

 ただ、「プログラマティック・バイイング」という言葉だけでは、なかなか進まないと思っています。というのは、広告の買い方、すなわち商流を単純にデジタル化して、プログラマティックにしましょう、ということ自体には大きな付加価値はないと考えています。メディアバイイングをデジタル化するというのは、あくまで手段の話なので、やはりその先にどのような付加価値があるのかを明確にして、マーケットに提示していく必要があると考えています。

田辺: 伸びているスマートフォン市場をはじめ、デジタルで扱えるものはすべて対象になっていきますよね。松田さんがおっしゃるように、そこに付加価値を提供できないとダメですが。トレンドの移り変わりが速い市場ではありますが、逆に、PC領域でもまだできること、やるべきことはたくさんあるとも思っています。ネイティブアドなどもそうですね。デバイスのフラグメンテーションに対応しながら、配信のプラットフォームとしてやるべきことはたくさんあります。足下もきっちり固めていくことを忘れてはいけません。

マーケティング成功の一翼を担うトレーディングデスク

高瀬:今後も消費者との接点が増えていくにつれて、広告のパーソナライズ化はますます進んでいきます。そのような消費者の変化に対応し、マーケティングをさらに発展させていくために、その一翼を担うトレーディングデスクに期待することがあれば教えてください。

田辺: まずは、こまめに情報開示してほしいですね。円滑なコミュニケーションができれば、運用もうまくいきます。あとは、複数のDSPを使う際もトータルで見るべきだと思います。CPAが悪いから、はい終わり、ではダメ。お客さまのプロモーションをトータルで見て、ハンドリングしつつ、円滑にコミュニケーションをとることでさらなる成果をあげていけると思います。

高瀬:お客さまからすると、我々は“代理店”ではなく、トレーディングディスク“機能”として採用頂いています。そのため、プロモーションの全体像を教えて頂くことも多いので、キャンペーンを成功させるために可能な範囲で情報を共有していければと思います。

松田:「MicroAd BLADE」を活用するにあたっては最適化が重要なのですが、お客さまがやりたいことと、最適化が効く設定の仕方が、必ずしも合致しないケースが多々あります。お客さまの要望に沿ってそのまま運用してしまうと、最適化のデータがたまらず、結果としてうまくいかない事態が起こることも。ですので、ツールの機能・特性を理解した上で、お客さまのやりたいこととの落としどころを上手く調節する設計を見つけてほしいですね。

高瀬:RTB経由のディスプレイ広告のマーケットは、2017年には1,000億円を超えると予想されているとはいえ、現状では400~500億程度とまだ小さいのが現状です。ですから、田辺さん、松田さんから厳しいご意見も頂きながら(笑)、我々も各プラットフォームの知見を高めて、お客さまのプロモーションを成功させていきたいと思います。DSP事業者の皆さんと一緒に業界を盛り上げていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします!

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/29 14:00 https://markezine.jp/article/detail/20444