純粋想起されるCM作品は3割程度
CM総合研究所/CM DATABANKは、1989年から約25年にわたって、CM好感度調査を実施している。

「この調査から、消費者は今どんなところに高い関心を持っているのか、トレンドはどこにあるのか、といったことを探っていきます。また、それらのデータをもとにCMから購買意向につながった売れ行き商品を発見するなど、マーケティングへデータを活用していきます」(増崎氏)
同調査のアンケートでは、最大5つまで回答できるのだが、平均回答数は1人あたり2.8作。先に触れたように、毎月約4,300作もの大量のCMがオンエアされているにもかかわらず、3作も思い出すことができないということだ。この数字は、25年間調査を続けてきた中で、ほとんど変化していないという。
調査で純粋想起される、いわば効果が見えるCMは4,300作品の約3割の1,300作品程度。残り7割の3,000作品は、映像を見れば思い出すかもしれないが、ヒントがなければ思い出してもらうことができない。これらの数字から、消費者が純粋想起するハードルはとても高いことがわかる。
消費者がCMに好感を持つポイントは?
CMの好感要因について、同調査ではそのCMが好きな理由を15の項目からアンケート回答者に選択してもらっている。

そして、そのCM好感度の要因のトップは、調査を始めてから25年間ずっと「出演者」だという。これに対し、増崎氏は「人が興味を示すのは人だと、科学的にも言われています。日本では基本的に15秒という短い尺の中で視聴者に印象を残さなくてはいけないので、出演者は非常に重要な要素です」と指摘する。

またここで注目すべきは、10年前は5位だった「商品にひかれた」という項目が、2013年には2位に上がっていることだ。「今でこそ景気が上向きになってきたと言われていますが、これまではリーマンショックに始まる不況の時期が続いていました。不況の間は、消費者は買い物に慎重になります。商品の価値を見極めるための、もの選びの基準として消費者はCMをみていた、と私たちは分析しています」と増崎氏。