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世界を変えるビジネスを生み出す「イノベーション教育」とは?

「失われた20年の大きな要因はイノベーションの不在」アアルト大学訪問記【前編】


“イノベーション大学”アアルト大に行ってきた

 イノベーション教育において世界的に有名な大学に、フィンランドのアアルト大学があります。アアルト大学は、それぞれ100年もの歴史を持つ3つの大学(ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ芸術デザイン大学)を統合して2010年に設立されました。理系と文系だけではなく芸術デザイン系も加えた、究極の“学際”を目指したイノベーションのための大学です。

アアルト大学「メディアラボ」のあるオタニエミ・キャンパス

 この大学の卒業生、水谷理人(みずたに・みちひと)さん、38歳。武蔵野美術大学で建築を学ぶことから始め、IAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)で2年間学び、2~3年ロンドンでデザイナーとして働いた後、アアルト大学大学院「メディアラボ」で2年間学んでノキアに入社したそうです(高校時代に留学経験があって英語はもともとある程度できたとのこと)。

 以来ノキア社(現在はマイクロソフトの一部)のデザイナーとして活躍して来ました。スマートフォンのソフトウエアのデザインを手掛けた後、現在はユーザー・エクスペリアンス・デザインの部署に所属し、ウエラブルディバイスなど新製品の開発等に携わっていると言います。また同時に、アアルト大学大学院で教鞭も取っています。

アアルト大学大学院の卒業生・水谷さんにインタビュー

水谷理人さん

――ノキアでの働き心地はどうですか。残業とか多いのでしょうか。

水谷:時間内に業務を終えてしまえば、残業をする必要はありません。残業は自分がしたければするし、したくなければしない。そんな感じですね。

――アアルト大学で学んでいて、日本と違うなぁと思ったのはどんな点ですか?

水谷:日本の大学に比べると、3~5人のチームでする作業、なかでもディスカッションにとても多くの時間を割きます。いろいろなバックグラウンドの人間が集まって来るので、まずはディスカッションが大事になるのです。日本から来る学生は優秀な人が多いのですが、総じてこのディスカッションの部分が弱いですね

――留学生時代に、苦労したことはありますか?

水谷:日本だと修士は2年とだいたい決まっていますが、こちらは2年で終えるには多過ぎるほどのプログラムが用意されていて、取りたい授業を網羅して、かつ2年で終えるのはなかなか大変でしたね。

――いま大学院の講師としては、どんなことを教えているのですか?

水谷:「プロトタイピングという授業を担当しています。プログラミング、電子工作、モックアップの作り方とかですね。ただ、作ることのバックグラウンドを持ってない学生も少なくないので、3か月かける課題でも、ディスカッションに2か月かけてしまい、結局作り終わらない人が出てきてしまうのが、悩ましいところです。

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アアルト大学が、イノベーション大学と呼ばれる理由

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/25 09:38 https://markezine.jp/article/detail/20503

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