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世界を変えるビジネスを生み出す「イノベーション教育」とは?

「失われた20年の大きな要因はイノベーションの不在」アアルト大学訪問記【前編】


アアルト大学が、イノベーション大学と呼ばれる理由

 アアルト大学のウエブサイトには、「アアルト大学の最大の特徴は、学際的プロジェクト(cross-disciplinary project)と実践学習(learning in practice)である」と記されてます。その2つのポイントこそが、“イノベーション大学”と呼ばれるゆえんでしょう。その辺りについて、引き続き水谷さんにいろいろと聞いてみました。

「メディアラボ」の教室の様子です。右端のマネキンは何に使うのでしょうか?

――日本でもイノベーション教育に関心が集まっています。アアルト大学での取り組みの特徴は?

水谷:大学内に、デザイン・ファクトリー、メディア・ファクトリー、サービス・ファクトリーという3つの“スクール横断のプロジェクト型組織”があります。このファクトリーが中心になって、さまざまな学際的研究や産学共同プロジェクトを行っています。

 さらにスタートアップ・サウナ、アップ・キャンパスなどといった存在も、イノベーション教育を推進しています。スタートアップ・サウナは産学共同をさらに進めて、自分達でビジネスを作ってしまおうというプロジェクトです。アイディアを集めたらオフィススペースも貸してあげて、会社を立ち上げてもらうといったことを実行しています。これには、アアルト大学外の人も参加できます。

――なんで、サウナなんですか?

水谷:サウナっていうのは井戸端会議の場所でもあるので、井戸端会議的な自由なディスカッションを通じてビジネスを創造して行こう、ということだろうと思います。

――なるほど!

学校にはギターやアンプも完備してます◎

水谷:アップ・キャンパスは、ノキア(現マイクロソフト)との共同プロジェクトで新しいアプリやモバイル・ソフトウエアを開発する環境を作っています。

――日本企業がイノベーションを起こすためには、どんなことが必要でしょうか?

水谷:道が1本ではなく、選択肢が多いことが重要だと思います。アアルト大学で言えば、例えばスタートアップ・サウナなど、そのための場が多様に用意されていますね。

 企業では、もっと若い世代からアイディアをすくい上げる仕組みができると良いと思います。その意味での産学共同が、フィンランドではとても盛んです。企業が吸い上げ過ぎて、若者に権利が残らないのが問題なくらいです。でも、そのことで若者が経験を積むことができるのは、それはそれで良いことだと思います。

――では、日本人が水谷さんのようにイノベーションの分野で活躍するには、どうすれば良いのでしょうか。

水谷:日本人は優秀だと思います。手が動く、というか、実現する力がある。あとは的確に売り込めるか、です。アイディアを売る能力に欠ける部分があって、もったいない。日本の学生は、英語力の問題とプレゼンが強くない。マジメ過ぎて、笑いも取ってリラックスした雰囲気の中で聞く人を引き込むのが、苦手みたいですね。

日本の従来の大学とは、アアルト大学での授業はずいぶんイメージが違うようです。この辺り、次回はさらに2人の現役学生に取材した内容をお伝えしたいと思います。

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/25 09:38 https://markezine.jp/article/detail/20503

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