“コンテンツ発想”と“PR視点”
以前手掛けた仕事でも、「メディアにどう取り上げてもらうのか?」を戦略的に設計した企画があります。それは、弊社の東京チームと一緒に作ったスニッカーズの「世界同時催眠」という企画です。
“お腹がすいたらスニッカーズ~♪”でおなじみのスニッカーズを、もっとたくさんの人に食べてもらうためにUstreamを利用して、全世界の人々を“催眠術”でハラペコにするというチャレンジングな企画でした。

誰しも一度は思ったことがあるであろう“催眠術にかかってみたい”というインサイトを汲んだコンテンツ発想がベースになっていますが、そこにPR視点を加えることでキャンペーンの最大化を試みました。
まず、この企画を全世界に向けて告知するムービーをローンチしました。ローンチしたのはエイプリルフールの翌日。
実は“エイプリルフールの翌日”というのがポイントでした。前日に他の企業が散々嘘企画を出した後に、スニッカーズの嘘のようなホントの企画が、全世界へ発信されることを狙ったのです。
“嘘じゃない、本気である”ということ示すことに繋がっているのはもちろん、一番の狙いは各企業の行ったエイプリルフールネタをまとめた記事に「これらはエイプリルフールネタだが、スニッカーズは本気(マジ)らしい」という取り上げ方で乗っかろうという作戦です。
結果、キャンペーンは大小300を超える様々なメディアに取り上げられ、公開イベントには応募殺到、配信したWebサイトは20万ページビューを突破し、イベント当日の全国売上は驚異の150%以上を記録しました。
このようにPR視点を用いることで仮に宣伝費・広告費をかけられないコンテンツでも、それらに依存することなくコンテンツの露出を稼ぐことも可能なのです。
しかし、これらを考えるのは、コンテンツを企画した後でなく企画段階からです。
“コンテンツ発想”と“PR視点”、両方を働かせながら企画をしていく。
大切なことは、「最終的にこのコンテンツが世の中にどう出て行くのか」という“出口”をしっかりと計算することです。
その上で、僕がコンテンツ企画をする上で大切にしていることは、中身はもちろんですが、
まず“タイトル”とその“リード”です。
タイトルが分かりやすくキャッチーであり、リードがそのままニュースの見出しになるようなものを心がけて企画をしています。企画の“ウリ”が分かりやすくなりますし、記事にしやすく、人々の言の葉にも乗りやすくなります。
例えば、過去にやった仕事のタイトルとリードは次の通りです。
新幹線を丸ごと貸し切りに「DREAM九州新幹線」

新幹線でやってみたい夢を募集し、1組に新幹線まるごと貸し切りをプレゼンとしたキャンペーン
2代目区長はカナダ美人!「福岡市カワイイ区」

カナダ人のトップYouTuberミカエラ・ブレスウェートさんを選出した
ピザって10回つぶやいたら最大無料!?「PIZZA 10 CALL!!」

クライアントへの提案の際も、まずタイトルとリードをプレゼンし、その後企画の中身について説明する場合が多いです。その時点でクライアントの食いつきが薄ければ、恐らく世に出した時の反応も大体同じです。
主役にならないといけない
- 記事として取り上げられた“広告コンテンツ”
- その記事の脇にある“広告バナー”
例え、同じニュースページに掲載されたとしても、受け手の印象はまったく異なります。映画に例えるなら“主役”と“エキストラ”ぐらいの差があるかもしれません。さらに、エキストラを主役級のギャラで雇ってしまった場合は目も当てられません。
僕が企画する上での基本の考えは「媒体費はなるべくエコに」です。
地方だと、少ない広告予算の中でいろいろなゴールを達成しなければなりません。そういった状況の中ではユーザーとの直接のコンタクトポイントであるコンテンツにこそ、お金とアイデアをかけるべきだと思っているからです。
そのためにも、主役級のコンテンツを生み出し、しっかりと世の中に受け入れられる形で売り出すための“PR視点”が大事になるのです。