無限の可能性を含むパブリッシャ―の情報を、すべての広告主に
パブリッシャーのマネタイゼーションの課題に直面しているのはThe Weather Channelだけではない。2013年頃より、いわゆるパブリッシャートレーディングデスクに注目が集まっている。パブリッシャーと一括りに言っても保有しているデータはさまざまであり、共通した正解はないが、データパートナーとしてデータを提供すること、パブリッシャートレーディングデスクのように広告のバイイングまでを提供することなど試行錯誤は続いており、この傾向は今年も続きそうだ。
パブリッシャーがパブリッシャーとしての機能だけでなく、The Weather Companyのようにデータプロバイダーやトレーディングデスクの機能を持つことと同じように、ツールベンダーが広告代理店の機能を持つケースなども出ており、現実は複雑さを一層増している。これはアメリカに限った話ではなく、日本の市場でも同様の動きが見て取れる。

LUMA scapeのディスプレイカオスマップをみても、この業界の複雑になっている状況が一目でわかるが、実際には一つの企業が一つの役割だけを担っているわけではなく、現実はこの図以上に複雑だ。このような状況下では複雑性を増しているからこそ、本質を捉えられるマーケターが求められている。「今ある選択肢」の中で考えようとしても、そのすべてを把握することが難しいのであれば、すでにあるかないかに関係なく、理想の戦略を考え、もし、ないのであれば新しい形を創造していくことも、マーケターに求められているのではないだろうか。
パブリッシャーの保有する情報は無限の可能性を含んでいるが、従来それを活用してマーケティングに利用することができたのは、予算もキャンペーンの規模が相当に大きい広告主だけであった。それが、すべての広告主に開かれることによって、自社内のデータだけでは考えられなかった多様な角度からのアプローチが可能になり、データを適切に扱えるマーケターにとって、活躍の幅が飛躍的に伸びるだろう。