TurnのDMPが電通に採用された要因とは?

――収益の面では順調ですか?
Bill氏:まだ上場していないということもあり、現時点では開示するのは差し控えますが、他の上場企業と比べても、Googleを例外として、マーケター向けにソフトウェアを提供する企業としては最大手であると自負しています。年間グロスベースで数億ドル計上しています。
――競合として認識している企業はありますか?
Bill氏:DSPやDMPは非常に新しい市場で、市場の伸びしろは大きいと考えています。私自身はTurnに入社して約6年目ですが、野球に例えるとまだ2回表くらいでしょうか。Overture(現、ヤフー)やGoogleが独占しているサーチ市場とは異なり、この市場は非常にフラグメント化されているからこそ、まだまだ伸びる可能性のある市場です。
競合の話に戻ると、オラクルがBlueKaiを、アドビがDemdexを買収するといった動きがありましたが、グローバル市場において今後はそのような企業が競合になってくるでしょう。
――Turnはより統合化された製品群“Suite”という形でソリューションを提供していますよね。一方で、よりサイロ化したアプローチをとっている企業もありますが、御社としてはどのような経緯で統合化した商品展開という方針に至ったのでしょうか?
Bill氏:その理由の一つとしては、Turnの今後の展開についての私のビジョンがあります。マーケターに向けてプラットフォームを提供していく中で、現状ではサイロ化されたものが多すぎるように感じています。オーディエンスやメディアのデータを一元化し、単一のダッシュボードを提供していきたい。つまり、サイロをこわしてつなげていくというビジョンを持って事業に取り組んでいます。リアルタイムで様々なデータが入手できる今日において、これは非常に重要なことです。単一のプラットフォーム上において、フリークエンシーキャップ機能、そしてオーディエンスがどんなメディアに接触し、どういったメッセージをどの順番に接触するかをコントロールする機能などを提供しています。
――日本市場での展開にあたって、どのような戦略を描いていますか?
Bill氏:日本においでは、佐藤瑛人のリーダーシップのもと、すでに多くの広告代理店様やブランド様にシステムを提供しています。また、先日は電通にDMPとしてご採用いただいたことについても弊社から発表しています。日本の広告市場規模は世界第3位(1位は米国、2位は中国)であることからも、今後はさらに導入を加速していきたいと考えています。Turnにとって、日本市場におけるプレゼンスを向上させ、足固めをすることは非常に重要です。
――Turnはどういった点が評価されて電通に採用されたのでしょうか?他社の製品と比較して、具体的に何が優れているのですか?
Bill氏:理由としては、まずはリーチやスケーラビリティでしょう。保持しているユーザープロフィールは10億人超。そして、その各プロフィールに対して約2,000の属性があります。適切なユーザーに向けて適正な価格で、どのコンテンツ、そしてどのデバイスに、その他のことも含めて10ミリ秒で瞬時に判断してデータを配信しています。それを支える充実したバックエンドのシステム、そしてそのスケーラビリティは弊社の強みであると自負しています。それらの一元化したファーストパーティーデータを活用することで、リアルタイムでオーディエンスを構築し、顧客の心理状況まで分析していくことができるのです。
――10億以上の顧客プロファイルを保持しているとのことですが、そのうち日本人のプロファイルはどの程度を占めているのでしょうか。
Bill氏:数字的なことは即答できませんが、Turnが日本市場にコミットしていこうと決断できる規模感だと思ってもらえれば。