参加するメリットを明確化
最後の戦略策定ステップでは、これまで立ててきた戦略をもとに、参加者にとって価値あるものになっているかを確認し、参加者のメリットを明確化します。参加者がコミュニティに参加・協力する動機付けには内発的動機付けと、外発的動機付けの2種類があります。
内発的動機付けとは、好奇心、学び、コミュニティへの貢献、コミュニケーション、期待感、楽しさ、自己表現などから発生する自発的なモチベーションです。外発的動機付けとは、プレゼントなどの報酬を与えることによるモチベーションです。動機付けは両方あるほうが、コミュニティに対する関与度を強固にできます。
内発的動機付けについては、コミュニティのミッション・ステートメントを参加者目線で再度見直すことで確認できます。考えているコミュニティが自社のひとりよがりになっていないか、参加者が共に実現したい未来になっているかを考えましょう。
外発的動機付けは「何を共創するか」について範囲を広げて考えることで、参加者にとっての価値を高められないか考えます。例えばプレゼントを用意する場合でも、新商品の発売前のサンプリングを提供して、意見を聞き、改善の参考にするという設計をすれば、「商品の改善に役立てる」という内発的動機付けを組み合わせることができます。
小さな成功体験を積み上げる
戦略が決まれば、次は具体的なアクションを決めていくことになります。ここで重要なのは「何を共創するか」で決めたことを、一気に始めようとしないことです。多くの企業は個別最適、効率化を求めて作り上げられた縦割り組織です。一方、共創マーケティングのアプローチは、全体最適と新しいイノベーションを作り出すものです。すぐに大きなことをするのは容易ではないでしょう。小さな成功体験を積み上げ、少しずつ関係者を巻き込んでいくことが成功の秘訣になります。
また、参加者がコミュニティに参加して「どれだけ満足してくれるか」「本当は何をしたいのか」は、コミュニティを運営してからわかることもたくさんあります。最初に立てた戦略はあくまでも仮説として捉え、参加者との対話を通して戦略を見直しながら、コミュニティ自体を参加者と共創していくことが大切です。