価値のあるものにお金を払う
人は、“価値あるもの”と認めるからこそ、お金を支払うと考えられます。お金=貨幣は、物々交換を可能にした、偉大なる発明です。人は価値の程度に応じて、金額として定量化して、その価値を交換するのです。夏にキャベツは100円で手に入れることができるのに、冬は300円をかけることを厭わないのは、冬のキャベツに夏の3倍の価値を見出しているからに他なりません。
自給自足以降、物々交換の時代も、現代の貨幣経済も、経済社会における共通点があります。それが、物々交換ならぬ、“価値交換”という原則です。人が見出した“価値”に見合う対価として、貨幣と交換を行うことで、契約が成立するのが、貨幣経済というわけです。
“価値”とは、“ありがたみ”とも翻訳することができます。そして、その“ありがたみ”は人によっても違うことがよくあります。それが、ターゲットの違いとなるのです。45歳のサラリーマンにとって、缶チューハイは、1日を締め括る晩酌であり、1日の出来事から解放されるための心の清涼剤のような存在かもしれません。従って、缶チューハイと競合するのは、ビールやワイン、ときには帰宅途中で読む夕刊紙なのかもしれません。それは、先ほどの27歳のOLが感じた“ありがたみ”とは全く方向性が違うことにお気づきでしょう。
レッスン2で扱ったトロと赤身のお話を思い出してみてください。あのお話も、全く同じ考え方です。トロを買い、トロを食べることができる自分に対する満足感が、トロにはあるのです。トロを買って、食べるまでの一連の消費プロセスに、赤身にはない“ありがたみ”がトロには存在するのです。
では、人はなぜ、ブランド品を買うのでしょう。10万円以上もするバッグには、どんなありがたみがあるのでしょうか? それを考えることで、人がお金を使うということの意味が、少し見えてくるのではないでしょうか。
そのターゲットに対して、どんなありがたみを提供しているのでしょうか?
そのありがたみへの対価として、あなたのビジネスにお金が支払われることになるのです。

