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アイディアをクリエイティブで実現するには?バスキュールと探る「企画の裏側」

コンテンツマーケに不可欠なUI/UX設計、重要なのはユーザーのエモーションを喚起させる演出家視点


 バスキュールの事例を活用して「Webクリエイティブの発想と具体策への落とし込み」を制作者視点で紹介する本連載。第5回目はUI/UXがテーマ。「JoinTown」プロジェクトを例に、サービスを設計するうえで必要なことを考えます。

UXディレクターはユーザーストーリの演出家・脚本家

 コンテンツやコンテンツマーケティングが注目される時代です。しかし、コンテンツが載るメディア・サービスのUI/UX(User Interface/User Experience)の大切さも忘れてはならない要素です。今回はバスキュールのUI/UXディレクター大塚と、徳島県・四国放送・日本テレビが中心となって実現した「JoinTown」プロジェクトを例にサービスを設計する際に大切にするポイントをお伝えします。(バスキュールがクライアントから依頼される仕事は広告だけではなく、ブランディングやサービスにつながるものもあります。したがって、アウトプットとしてはアプリの開発やサービスUI/UXの開発も含まれます!)

 UXデザインを設計する上でバスキュールが大切にしているものは、「ユーザーが実際に手で触り、得る体験がどのようなものになるか?」というリアル感です。アプリ、サービスを利用する上で発生するエモーションを想定しながらUXストーリーを組み立てます。

 ユーザーに必要だと感じてもらえるエモーションに到達するために、お膳立てや伏線を準備しユーザー体験というゴールに向かいます。ある意味で脚本家・演出家と一緒かもしれません。コンテンツマーケティングとUI/UX設計を絡めて設計していくのがバスキュールのアプローチ方法です。

 ここから具体的に「JoinTown」を例に挙げて、そのアプローチ方法をご紹介しましょう。「JoinTown」は災害支援対策や独居老人対策が進む国内自治体向けのサービス。離れて暮らす家族がテレビ及びスマートフォンを使って、コミュニケーションをしたり安否確認をしたり、災害時に情報の確認をしたりといったことが可能です。当記事では同サービスについて、親(孫のいる老人)と子(働き盛りの自分の家庭を持つ、30代、40代の世帯主)を軸に展開していきます。

 UXをデザインする際に大切にしたのは、架空のペルソナではなく実在する独居者であり、その子供であり、また社会的に関係している自治体です。スマホストア(AppStore/Google Play)に並ぶ全国・全年齢を対象としたアプリとは異なり、その地域に暮らす人々が日常的に利用することを前提とした設計に注力しました。

 サービスの設計を行う際には、ペルソナだけでなく、家族をはじめとするリアルな関係性にフォーカスしました。関係性とは、子供にとっての親・親にとっての子供。あるいは自治体にとっての住民といったものです。なぜなら「JoinTown」はコミュニケーションや緊急時のライフラインを保つためのサービスです。そのため、ターゲットユーザーの個々の利用を考えるだけではなく、ユーザー同士の関係性もシミュレーションしながら設計することが重要だと考えたのです。

 機能面から見ればソーシャルサービスの一種に当たるかもしれません。ですが、扱われるコンテンツは友人のアクティビティではなく「家族の絆」です。ターゲットユーザーが得るUXから、個人を個人と結ぶ線をデザインする複合的な視点までが必要になりました。子供の視点に立った時に親から入手したい情報は何か。逆に、親の視点で子供から伝えてもらいたい情報はどれか。線をひとつひとつ解きほぐし、コミュニケーションを注意深く設計しました。

親と子のコミュニケーションハブを設計

親向けの配慮

 「JoinTown」ではテレビを親のUIとして利用できるようにし、子供からのエモーションや自治体からの情報が届くようにしました。

 30代以降の子供世代はスマートフォンやソーシャルメディア・ソーシャルコミュニケーションが生活の中心になっています。一方で、親世代はテレビや新聞から情報を得ることが多いです。そのため、子供世代が大量のエモーションをスマホからソーシャルグラフへ発信しても、多くの親世代=スマホやPCを使わない層には遮断されているからです。

 また、テレビをメインに使う親世代にとって、リモコンは最も使いやすい操作端末です。リモコンの十字キーと色のついたボタンを使うだけでタイムラインに参加できるよう、シンプルな操作性を徹底的に検討しました。テレビからいつでも子供のメッセージや写真を開け、テレビ番組を見ている最中でも新しいメッセージのお知らせが表示されます。さらに、色ボタンで簡単に返信を送れるなど、見るだけではなく簡単なリアクションも可能です。このサービスがソーシャル入門としても、楽しんでもらえるのではないかと考え設計しました。

子供向けの配慮

 「JoinTown」ではコミュニケーションのためのタイムラインを準備し、親子でシェアすることでいつでも繋がっている状況を作りました。親はテレビから、子供はスマートフォンからアクセスすることができます。タイムラインには親の健康相談結果なども反映され、離れていてもスマホから親の安否を確認できます。日常生活というコンテクストがシェアできる状態を作り出し、不安があればいつでも声をかけられ、もしもの事態が起こっても素早く対応できることを大切にした結果です。

 子供にとって「JoinTown」を利用する際のサービスのコアとなっているのは「見守り」機能です。スマホから実家にあるテレビ操作ログを確認でき、テレビがつけっぱなしにされているなど、長時間操作がなければアプリがアラートを出します。さらにリスクがある場合にはコールセンターから実家へ連絡が入り、緊急時には自宅まで人が出向くような運用も行われています。

 親のことが気になるけど日常生活・仕事が忙しくて頻繁に電話できない、という忙しく働く子供世代の不安を解消できるサービス設計です。

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この記事の著者

西村 真里子(ニシムラ マリコ)

元:(株)バスキュール プロデューサー 現:(株)HEART CATCH代表 IBMでエンジニアとしてWebソリューションスキルを蓄え(特許取得)、AdobeでFlashなどのWeb製品マーケティングマネージャーを経て現職に至る。プロデュースプロジェクトは次世代マス・リアルタイム エンターテインメ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鳥居 匠(トリイ ショウ)

(株)バスキュール プロデューサー 消費者参加型商品開発の企画や嗜好性によるユーザーコミュニケーション設計、ストラテジーコンサルタント、ウェブプランナー等を経て現職に至る。コーポレートやIR系サイトからブランディングやキャンペーン・プロモーション系まで幅広く担当。ユーザーとクライアントとクリエイタ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/12/24 10:38 https://markezine.jp/article/detail/21584

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