モバイルは7秒など短いクリティティブのほうがKPI達成しやすい
── ほかに、TubeMogulの急成長の要因はどのようなところにあるとお考えですか?
サロップ:当社は広告主のためのサービスを提供しているので、DSPに特化しており、SSPは一切提供していません。媒体サイドとも取引をしているベンダーでは、自社の在庫を優先的に売ることもあるそうですが、私たちは純粋に最安値を提示したSSPから在庫を買い付けています。米国を含めてTubeMogulが支持されているのは、その点で信頼をいただいているのだと考えています。
── 昨年の動画視聴の浸透は、スマートフォンで手軽に動画を楽しむ人が増えたことと大きく関係していると思います。モバイルでの動画広告について、どのように捉えていますか?
サロップ:モバイルの場合は、テレビCMを含めたこれまでの常識が、まったく変わる可能性があると考えています。例えば、動画の尺ひとつとっても、先日当社のDSPプラットフォームを使ってイギリスのクライアントがわずか7秒程度のオンライン動画広告を配信し、反響を得ています。
── なるほど。ついテレビCMの慣習で15秒、30秒と思いがちですが、ユーザー体験から考えると関係ないことですよね。
サロップ:ええ。モバイルでのオンライン動画広告の知見も蓄積されてきて、海外事例では全般的には尺が短い方がKPIが達成しやすいといわれています。「15秒にこだわることはないんです」と今、日本のクライアントに説明しているところです。動画の秒数は分かりやすい例ですが、それも含めて「モバイル動画広告に適したクリエイティブ」は、今年の大きなテーマになると思います。
動画素材はオンラインありき、それをテレビへ展開
── 一時期は、「テレビCMなどの動画素材がある企業はオンライン動画広告に着手しやすい」といわれていました。そのあたりはどのようにご覧になっていますか?
サロップ:日本でもオンライン動画マーケティングがかなり浸透した今、最初からオンラインに最適化したコンテンツを展開していくクライアントが、昨年から増加してきました。さらに直近でお会いしたクライアントのうち複数の会社で、オンラインの動画をテレビCMに展開するという、以前とは逆の展開をしようとしていました。
── オンラインからというのは、今までとは逆のパターンですね。
サロップ:そうですね。ブランド広告主はテレビCMをより効果的に活用するために、どのようにしてオンライン動画を展開していくかの検討をはじめています。
── 一方で、テレビの側ではプログラマティックな広告取引が生まれていますが、こちらは米国では活性化しているのですか?
サロップ:ええ。それに、メディアの側にも望まれています。これは日本とは事情が違いますが、米国では地域ごとのケーブルテレビが発展していて、テレビがローカル、ネットがマスという環境があります。プログラマティックな取引でそれを組み合わせられる点が、相性が良かったのでしょう。