リテンションの効果のほどは?
リテンションを行った際の効果は、どれ程のものなのでしょうか。ゲーム会社に協力をしてもらい、ユーザーを次の6つの属性群に分けて、実際にリテンションによって広告を出稿し、ユーザーがどの程度復帰・継続するのか測定しました。
- 7日間休眠ユーザー:直近7日ゲームを実施していないユーザー
- チュートリアル突破ユーザー:チュートリアルまで過去完了していたユーザー
- 自然流入ユーザー:広告経由ではなく、ユーザー自ら過去にアプリをダウンロードして遊んでいたユーザー
- リワード広告ユーザー:インセンティブを目的に過去にアプリをダウンロードしたユーザー
- アドネットワーク流入ユーザー:アドネットワーク広告経由で過去にアプリをダウンロードしたユーザー
- 課金ユーザー:過去に対象ゲーム内で課金をしていたユーザー
リテンションによる広告をクリックした後の再ダウンロード率(CVR)は次のようになりました。CVRは低めですが、リテンション広告を配信することで、既に遊んでいたユーザーかつアプリをアンインストールしたユーザーが、再インストールするきっかけになりうることがわかりました。

リワード広告ユーザーはアプリダウンロード時のインセンティブが目的だった層です。そのため、リテンションで復帰しなかったことは妥当だと考えられます。また、アドネットワーク流入ユーザーと、課金ユーザーのダウンロードもありませんでした。おそらく、両ユーザーは対象のゲームを遊び尽くした後でアプリをアンインストールしたために、ゲームに戻らなかったと想定されます。
また、現在もアプリを所持しているが遊んでいないユーザーが、リテンションによる広告をクリックした後の再訪率(DAU)は、CVRとほぼ同様の結果になっています。

一方で、再訪ユーザーのゲームチュートリアル突破率に目を向けると、非常に良い結果が出ました。ユーザーは既にゲームを遊んだ事があるので、ゲーム性を理解している状態です。そのため、ゲームに対して違和感や「思っていたものと違う」というギャップを持つことなく、チュートリアルを進めることができたと考えられます。

しかし、再インストールユーザーの継続率は、15%前後に留まりました。チュートリアルを突破したものの、翌日以降継続していない状況です。ゲームの内容・施策自体にも関係するため、一概に原因を判断できませんが、一度遊んでいたゲームを再度プレイしてみたが、何も変わってなかったので、止めてしまったと読み取れます。

施策全体では、リテンション広告を配信した事でユーザーが回帰し、休眠ユーザーの呼び起こしが作用したと考えられるため、リテンションを実施する意味はあると言えます。その後、継続をさせるには先ほど触れた通りゲーム内の施策を工夫する施策が必要となってくるでしょう。
リテンションによる広告の未来
ゲームアプリ市場は競争も激しく、レッドオーシャンとなっています。ローンチしてから長期間遊ばれているゲームタイトルも多く、新規ゲームでヒットさせることも容易ではなくなってきています。そのため、既存ゲームタイトルをいかに長く維持させるかが課題になります。このような状況からも、今後、より一層リテンションのニーズは高まり、広告市場は活況になっていくと考えられます。
記事転載元:D2Cスマイル