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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

Eメールの「生の声」からカンバセーショナルマーケティングへ~激変するオンラインマーケティングの未来~ (前編)


ネットとの出会いと「iMi(いみ)」事業

四家
ちょっと話を戻して、ネットとの出会いというあたりからお話しいただけますか?
喜山
たしか、ネットとの出会いと「iMi(いみ)」事業の開始は同じ頃だと思います。ニフティのIDでメールしたりプロジェクトでフォーラムをしたことはありましたが、ネットはeメールマーケティング事業と同じタイミングでした。
四家
「iMi」は95年か96年でしたっけ。ここでちょっと簡単にiMi事業についてご紹介いただけますか?
喜山
95年起動、96年始動でした。11年も前です。先カンブリア期でしょうか(^^)。「iMi」は、オプトインメール(注2)とアンケートを両輪にしたeメールマーケティング事業です。アンケートは、当初、eメールを使ったアンケートで、生の声を収集するのと、出現率の低い消費者に回答してもらうのに力を発揮しました。
四家
僕も96年にインプレスでメール広告の仕事始めてますから。当時はドゥ・ハウスがお得意様でした。iMi会員獲得広告をよく入れていただいていました。
喜山
まだクリック率の計測できない時期だったでしょうか。
四家
URL表記の問題で、メールマガジンはまだできなかったですね。お客さんに教えてもらったりしてました。iMiは、後に多くのフォロワーを生み出しましたね。
喜山
「オプトインメール」という言葉のなかった時期ですからね。そういう意味では、ネットの消費者主権を先駆的に謳っていたと思います。アンケートは、eメールからWebへ、すっかり座を明け渡していますが、コミュニケーションとして回答を引き出すには、今もメールアンケートは有効だと思っています。初期は、アンケートの返信率とほぼ同等のクリック率が出せたんですよね。あの、出会いの一撃の感動はいまも生々しく覚えています。
四家
そもそもiMiネットはどういうきっかけで始まったんですか
喜山
いろんな説明の仕方がありますが、マーケティングの潮流からいうと、1to1マーケティングを具現化する方法としてeメールマーケティングが採用された。その思想を理解しシステムを組み立てる技術を持った富士通が開始した。そして彼らが、eメールを使った企業と消費者のコミュニケーションの担い手としてドゥ・ハウスに白羽の矢を当てた。そんな順番だったと思います。当時は、eメールでマーケティングなんかできるのか。そんな議論もありました。
四家
もともとのダイレクトマーケティングの方法論と、ドゥ・ハウスの特徴である定性データを活用したリサーチ、今となればeメールとの相性が良いことはわかるんですが、当時はなにぶんネットユーザーが少ない時代でしょう。大変だったと思いますが。
喜山
ただ、初期ユーザーはいわゆるイノベーター、革新創造派の方が多かったので、活気がありました。企業と消費者はここに出会う。そんな感激が確かにありました。
四家
何か覚えてらっしゃるエピソードなどありますか
喜山
当時は、まだ社内もダイヤルアップ接続でした。「ただいまプロトコル確立中」。あの、間合い、忘れません。で、接続すると、次から次に回答が押し寄せるんですね、びっくりしました。画面の向こうで待ち構えているような。あのリアルタイム感にはまると抜け出せなくなりましたね。
あと、マーケターが、私信の手紙ようなeメールでアンケートをお願いすると、回答というより、返事として、「がんばってください」と添えられた返信がよく来ました。ただの調査じゃない側面があったんですね。
四家
へー。それはすごい。
喜山
あの、企業担当者と消費者の対話は、いまブログで可視化された感じがありますね。
四家
それはありますよね。確かに、それまでの定量データ獲得のためのリサーチだと、あんまり調査主体の顔というか、個性を出しちゃだめじゃないですか。バイアスかかっちゃうから。
喜山
はい、定量調査の本来の考え方はそうです。
四家
その点iMiの手法は斬新だったというか、僕はまだそのころマーケティングに詳しくなかったのであまりわかってなかったのですが、グループインタビューのような少数の閉じたコミュニケーションを 多数の会員に対して仕掛けるモデルは面白かった。
喜山
eメールマーケティングを推進して面白かったのは…いや、今も面白いわけですが…リサーチもプロモーションも、コミュニケーションに近づくということと、リサーチとプロモーションが似てくる、同じになるということでした。
四家
そこですよね。面白いし、ときどき混乱する(笑)
喜山
そうですね。インタラクションのなせるわざです。プロモーションとリサーチのコミュニケーションとしての同一化の地平で、企業と消費者の協働という形も見えてくるはずなんですね。あ、抽象的だ。
四家
いや、わかりますよ。これはネットで初めて見えた地平なんですかね。それとも、もともとのドゥ・ハウスの事業の中にそれはあった?
喜山
萌芽はもともとありました。DOさん(注3)の台所フォームで、主婦に商品のことを聞けば聞くほど、主婦自身も商品に愛着を持つという形で。
四家
なるほど、DOさんというのは主婦モニターというか、主婦調査員というか。
喜山
フィールドのマーケターと呼んでいます。(^^)
四家
モニターでもあり、周りの主婦から定性情報を集めるマーケターでもあるんですよね。
喜山
はい、そうです。商品のよさを発見してクチコミする消費者でもあります。
四家
なるほど、プロモーションにも一役買っているわけですね。
喜山
マーケターは商品のプロ。彼女たちは生活のプロなので、いまでも商品の感想を求めると、唸ります。企業が打ち出す商品のベネフィットと消費者の受容しているベネフィットにズレがある。それは何だろうと思うときに、DOさんの声を取ると、たちどころに解けた、と感じるときがあります。
四家
そのあたりはもう定性じゃないと見えないですよね。定量データでは見えにくい。
喜山
そうですね。それをぼくは、「生の声マーケティング」として展開しようと思っています。
四家
すごく良くわかります。こういうお話をしていると、やはり僕は喜山さんの影響を強く受けているなと思います。
注2
消費者が許諾した興味ジャンルについて、企業がプロモーションメールを打てるサービス。
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注3
ドゥ・ハウスが運営している、首都圏を中心とした主婦フィールドマーケターズネットワーク「DOさんネット」の「フィールドマーケター」を「DOさん」と呼ぶ。
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話し言葉の重要性と「カンバセーショナルマーケティング」

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/12/03 17:55 https://markezine.jp/article/detail/2205

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