導入に際して直面する様々な「落とし穴」
カネボウ化粧品、花王など2014年後半から大手企業が続々とプライベートDMPの導入を発表している。プライベートDMPは、自社の様々なデータを統合・一元管理し、効果の高いマーケティング活動を可能にするツールとして注目を集めている。
しかし、実際に導入を進めている企業にとっては、導入費用や人員などのコスト面のハードルが高いという側面もある。また、その幅広い活用可能性ゆえに、導入に際して様々な「落とし穴」があり、せっかくプライベートDMPを導入しても活用ができなかった、というケースが多く見られる。
本連載では、大手企業のプライベートDMP導入事例やコンサルタントとしての現場経験を通じて、「落とし穴」にはまらないためのポイントを2回に分けて解説する。
プライベートDMPで実現できるマーケティング活動の最適化
プライベートDMPとは、Webサイトのログや顧客の購買情報、プロモーションの結果など企業内に散らばっているマーケティングデータを統合し「見える化」した上で、マーケティング活動の最適化を支援する機能を果たす。企業には多種多様な保有データがあるが、それを整理・集約し「どんな戦略を立て、どんなマーケティン活動を行うか」に答えを出すことを目的とする。
つまり、プライベートDMPを活用すれば、既存顧客や見込顧客とどのようなコミュニケーションをとり、購買や申込みのコンバージョンにつなげていくかや、いかにLTV(※)を高めていくかなどの効果的な戦略を立てることが可能である。
現在、プライベートDMPの活用といえば広告の配信対象を最適化する事例が多いが、広告視点だけでなく顧客コミュニケーション全般に対する施策を立てることにより、成果につながるマーケティング活動が実現できる。
そのため、システムの構築にはマーケティング担当者の視点が必須だ。さらにプライベートDMPをうまく活用すれば、営業担当者の動き方や、DM・カタログ送付のタイミング、商品企画やサービス設計といった、既存の組織体制や業務フローも最適化することができるといえる。
しかし、ただツールを導入しただけではうまくいかないのが、プライベートDMPの難しさでもある。活用できるプライベートDMPにするにはどのように導入すべきかを、事例を通じて紹介する。
※LTV(Life Time Value):顧客生涯価値