“あなただけ”の動画をメルマガで配信、関心を高める
MZ:各社がOne to Oneマーケティングに注目し、メールマーケティングを筆頭に施策を展開していますが、今回のような動画の中身をパーソナライズするという施策は初めての試みだと思います。まずは簡単に、施策の内容を教えていただけますか?
小林:GW期間中に住宅展示場へ足を運んでもらうことを目的に、当社の住宅を案内する1分の動画を制作して、メルマガ会員へ配信しました。
この動画が、会員お一人ずつの名前と居住エリアをパーソナライズしたものなんです。表札と、「○○様の家づくりの進捗はいかがでしょうか」など何度か音声で名前が入る点、また最後の展示場案内のエリアを一人ひとりのご住所によって変えています。
MZ:冒頭の表札は、驚きました。ここにそれぞれの会員の名前が入るんですね。そもそもなぜ、このような施策をされたのでしょうか?
大島:当社のような商材ですと、ときには何年にもわたって接点を保ち、エンゲージメントを築いていくことが重要になります。そこで近年はOne to Oneマーケティングに力を入れ、昨年からメルマガでもパーソナライズした内容をA/Bテストなど実施しながら模索しています。その中で今回のような動画配信ができると提案を受けて、他社より先にまず試してみようと(笑)、実証実験のような形で実施することになったんです。
多様なデータの反映が可能、進化する動画のパーソナライズ
MZ:メルマガ会員へのパーソナライズということは、動画ファイルが会員の数だけ必要ということですよね。こちらは実現まで、どの程度時間がかかったのでしょうか?
小林:実際の制作期間は、3週間くらいでしたね。今回の取り組みはlivepass社のlivepass catchというサービスを利用しているのですが、livepass社から2月頃に提案を受けて、3月中にシナリオの構成やデータの確認、年度末は展示場が忙しいので撮影は4月に行いました。
撮影と編集はモバーシャル社に委託し、それが1週間くらい。その後、livepass社で文字や音声などパーソナライズする部分のシステムを構築し、当社提供のデータとつなぎ込んで数万本を生成してもらいました。これも1週間程度でしたね。
動画にどこまで凝るのかによって、だいぶ変わってくると思いますし、技術的には数十秒のタイムラグでリアルタイム生成することも可能だそうです。
大島:今回は、会員の方々もきっと初めて見る「パーソナライズ動画」なので、そこまで凝ったものにはしませんでした。ただ、技術的にはほかにも「メルマガ会員になって1年が経ちました」など、個別データを使ったカスタマイズができるようですね。海外では、例えばガス会社のプラン変更の案内で、動画内の数字を人それぞれの料金に変えて比較して見せる、という事例もあるそうです。