ユーザーは、自分に役立つ商品やサービス情報を待っている
コンテンツマーケティングにおいて、しばしば「商品・サービスではなく、顧客にとって価値のある情報を伝えることが重要だ」と言われます。これまでは企業が広告や宣伝で自分たちの商品・サービスを一方的に説明し続けてきたことに、ユーザーが辟易していると。この状況に対して、「●●のコツ」「●●のまとめ」「●●のメリット」といった記事を週に数本更新し、PVを増やそうと励む企業は少なくありません。この流れは否定しませんが、少し視点を変えて考えてみましょう。
実際のところ、ユーザーが飽きているのは商品・サービスではなく、その企業の都合による一方的な紹介のしかたではないでしょうか。ユーザーは、商品・サービスが自分の状況にどう関係し、どんな課題を解決してくれるのか、あるいはどんな豊かな生活をもたらしてくれるのか、といった説明が十分にないまま購買へ促そうとする企業への不満をいだいているのではないでしょうか。これは、私たちがこれまで実施してきたユーザー行動観察調査から学んだことです。
その視点がなければ、「商品・サービスに言及するのはユーザーにとって好ましくない」と考えてしまい、「お役立ち情報」を延々と流し続けることになりがちです。その結果、いつまでもビジネス成果に結びつけることができないのです。明確なポリシーがある場合は別ですが、商品・サービス説明を怖がる必要はないのです。
「コンテンツ」マーケティングではなく、コンテンツ「マーケティング」
では次に、コンテンツマーケティングにおいて、顧客にとって価値のある情報とは何か、について考えていきましょう。この「価値」とは、“単純なコンテンツのクオリティ”ではなく、“事業者が捉える価値”を意味します。この視点が欠如してしまうと、変わり映えのしない普遍的な事実を伝えるコンテンツだったり、顧客の気をひくことを第一にした動画やCGなど、パッケージとしてのクリエイティブばかりにこだわるようになってしまいます。
たとえば、天気予報を思い浮かべてみましょう。テレビやインターネット上では、最新の情報に基づいた予報を私たちに届けています。確かに役には立っているし(ときに外れるけれど)、毎日のように閲覧している情報ですが、果たして「この会社の天気予報じゃないとダメ」というその情報提供元の企業に対する興味関心や指向性を高めていると言えるでしょうか……。私たち生活者は、その企業にとっての「顧客」になっているでしょうか。天気予報は立派なコンテンツではありますが、マーケティング活動としては捉えることは難しいでしょう。
また、コンテンツマーケティングの一環として発信されるコンテンツがPVを集めている背景には、取り組んでいる企業がまだ少なく、先行者利益的なところがあるでしょう。これからますますコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えれば、間違いなく同業界内でテーマ重複や情報の類似が発生し、これまでのようにうまくいかなくなる可能性が出てくるでしょう(キュレーションサイトではすでにこのような現象が起きています)。
ユーザーの意識に残るために大切なのは、情報発信者の個性や観点であり、それが反映された商品・サービスの情報です。そのためには、やみくもにバズることを目的とするのではなく、誰のどんな状況にどのような独自の価値をもたらすのか、いわば当たり前の「マーケティング」を意識しなくてはいけません。
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