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来たるべき検索連動型広告のパラダイムシフトに備えて【SMX Advanced 2015レポート】

AdWordsの管理画面インターフェースは完全刷新の予定

 Dischler氏はセッションの中で、さりげなくAdWords管理画面インターフェースの刷新についても言及した。時期は未定だが、完全に再構築し、モダンなものにする構想だという。現在のインターフェースは、新機能が実装されるたびに更新を繰り返しているが、加速的に進む機能の複雑化に対して、効率的な利用環境を提供できているかというと決してそうとは言えない。他のプラットフォーム各社は「シンプルなインターフェース」「負荷がさほどかからない管理」を打ち出しはじめているので、ここも期待したいところだ。

「キーワードレスな世界」は実現するか

 インターフェースの話で言うと、もう一つの大きなトピックは「キーワードレスな世界」が実現するかどうかだ。現在のように、何千・何十万のキーワード管理に依存するのは今後長くは続かないのではという話だ。実際、毎日Googleで検索されるキーワードのうち、15%はそれまで一度も検索されたことがないキーワードであるという話があったばかりだ。ますます多様になる情報探索への対応を人力に頼るというのは、確かに無理がある話だ。以前からこの方向性については語られていたが、キーワードによるターゲティングから、よりオーディエンスによるターゲティングに移行するのではないかという話だ。

 また、Dischler氏はPLA(商品リスト広告)の推進者でもあるようで、データフィードや構造化データをより活用すれば、キーワード管理の手間も省けるのではないかという考えのようだ。実際、前述のBuyボタンのついた広告や業種別モバイル広告もデータフィードを活用するものになるはずで、PLAはキーワードも広告文も必要ない。よって、この考え方はすでにAdWordsにも反映され始めていると言ってもいいかもしれない。

 Googleは最近、動的検索広告の刷新を表明した。動的検索広告は、ウェブサイトのコンテンツに基づいて自動的に広告が表示されるもので、多数のキーワードやランディングページを管理する必要がない。どちらかというと、これまでは手動で追加したキーワード群の穴埋めをするために補助的に使われることが多かった印象だが、機能改良を進め、これがメインになっていくのかもしれない。手動のキーワード入稿は完全になくなるわけではないと個人的には思うが、逆にこちらが補助的になる、という世界も近いかもしれない。

ウェアラブルやGoogle Nowなどの動向

 少々変わり種なネタで言うと、ウェアラブルデバイスやGoogle Nowが検索行動に与える影響についてのセッションもあった。さすがに時代が変わってきたなと思った。一説では、2015年には4,000万台、2018年には9,200万台のApple Watchが出荷される見込みとのことで、仮に利用者が増えることになった場合、検索エンジンマーケティングも意識すべきなのではという話だ。

●ウォッチ型はブラウザがないためアプリへの直接誘導が増えると考えられる。
●音声を使ったConversational Search(会話型検索)が増える。Apple Siri、Microsoft Cortana、Google Now/Now on Tapなど。Now on Tapは状況に応じて関連性の高い情報を学習しながらプッシュしてくれる。しかも邪魔にならず小出しに。検索行動も支援してくれる。
●Google Nowカードは企業にもオープンに。今後さまざまな情報が入手できる。
●AppleはGoogle Now対抗のProactive(コードネーム)を開発中。
●Beaconからの情報プッシュも増える(能動的な検索よりも受動的な情報受けとり)。
●近未来は「デジタルコンシェルジュ」に。機械学習が進化し、すばやく答えに導いてくれる。

 Googleは、ディープラーニングによる機械学習を今後も進化させていくとは言われている。情報プッシュによって能動的な検索行動には変化が出てくる可能性もあるし、もっと短い検索キーワードをサジェストしてくれるか、もっと言えば選択肢を自動的に提示してくれるかもしれない。先々、情報探索側(ユーザー)と提示側(広告主)のマッチングの不整合を減らすという意味でも、Googleにとって重要な動きであることには違いない。

総括

 まだまだキーワードを使った検索の世界を逸脱することはないかと思っていたが、さすがに少し未来像が見えてきただけでなく、現実味を帯びてきた感じがしたカンファレンスだった。この流れに少し触れただけでも有意義な時間だったと言える。モバイル、フィード、オフライン、キーワードレス、ウェアラブル、プッシュなど、さまざまな新しい展開が待ち受けている。ものによっては今年から数年内に実施されるだろう。

 変化はしていくものの、検索エンジンマーケティングはマーケティング施策の中でも中心的な存在であることは、依然変わりないと思っている。SEM従事者としては、来たるべき変化に柔軟に対応できるよう、常に準備をしておくことが求められていると考える。

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この記事の著者

杉原 剛(スギハラ ゴウ)

アタラ株式会社 代表取締役CEO
ノバセル株式会社 エグゼクティブディレクター

KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/10 12:00 https://markezine.jp/article/detail/22573

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