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MarkeZine Day 2015 FUKUOKA

【シャボン玉石けん×コスメ・コム】競争激化のEC市場、成功の鍵は 「自社の顧客は誰か」の見極め


 昨年経済産業省が実施した調査によると2013年のEC市場規模は、前年比17.4%増の11.2兆円。現在ますます増大している状況だ。ユーザーの利便性は高まる一方、事業者間の競争は激化している。MarkeZine Day 2015 FUKUOKAでは、メーカーとして通販も行うシャボン玉石けんと、EC専業のコスメ・コムの事例を通して「ユーザーに愛され続けるマーケティング戦略」を探った。

競争激化のいま、消耗戦にならない戦略が必要

 MarkeZine Day 2015 FUKUOKAのオープニングセッションでは、EC事業で成果を上げている企業として、シャボン玉石けんの松永康志氏と、化粧品クチコミサイト「@cosme」の姉妹版ECサイト「cosme.com」を運営するコスメ・コム の朝倉大輔氏を迎えた。

シャボン玉石けん株式会社 マーケティング本部 本部長 松永康志氏(左)、株式会社コスメ・コム執行役員朝倉大輔氏(右)
シャボン玉石けん株式会社 マーケティング本部 本部長 松永康志氏(左)
株式会社コスメ・コム 執行役員 朝倉大輔氏(右)

 年々拡大を続けているEC市場。スマートフォンの普及や中高年のEC利用拡大などによって、BtoC領域が伸びているのはもちろんのこと、BtoB領域でも割合こそBtoCより小さいが市場規模が大きくなっている。

 さまざまなプレーヤーが新規参入し、取り扱われる商品カテゴリが増えたりサービスが拡充されたりと、ユーザーの利便性が日々高まっていることも、利用者数の増加を後押ししている。しかし裏を返せば、事業者にとっては競争が激化している状況だ。類似の商品を扱うサイトではなく、自社を選んでもらうためには、値引きなどの消耗戦ではない継続性のある戦略が不可欠になる。

 メーカーとして、スーパーやドラッグストアなど小売を通した販売も行っているシャボン玉石けんは、並行して展開する通販ECについてどのように捉えているのだろうか? 現在マーケティング、営業、通販の3部門を統括する松永氏は、「マーケティングと通販はとても近いところがある」と実感を語る。

有料の会員制度「シャボン玉友の会」にて特典を提供

 「小売を介した販売も通販も、営業の範疇ではあります。ですが、直販の場合は、小売店やバイヤーといった売り手のニーズも重要になる店舗販売に対して、直接お客様のニーズを汲み取ることが求められます。長期的な視点で、日々の売上の額より顧客満足を重視する通販ECの考え方は、マーケティングに直結していると感じています」(松永氏)

 今年で創業105周年になるシャボン玉石けんは、かつて製鉄で栄えた北九州が発祥の地。主力だった合成洗剤の製造を70年代に一切停止し、無添加石けんに絞ったが、販路拡大には苦戦していた。地場の顧客が中心だったため、街を離れる人の「買い続けたい」という声に応える形で通販事業を開始したという。

 現在の通販の売上構成比は、電話が45%、ネットが35%。「効率化を考えればネットを増やしたい一方、電話での顧客との会話も大切にしています」と松永氏。

シャボン玉石けん直営のECサイト
シャボン玉石けん直営のECサイト

 同社の通販で特徴的なのは、有料の会員制度「シャボン玉友の会」だ。会員登録せずに購入もできるが、年会費2000円で会員になると、商品10%割引や会報誌の送付、会員向けプレゼントキャンペーン参加などの特典がある。「当社は小売店でもディスカウントをしない方針です。そこで、有料会員への割引と、会報誌などを通して顧客との関係構築を図っています。通販では社員がコミュニケーターを担当し、注文や商品の相談、販売店の案内などワンストップで行うことを目指しています」(松永氏)

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/08/05 13:03 https://markezine.jp/article/detail/22656

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