「自分にしかできない仕事」に全力を注ぐ環境作りを
── それはどうしてでしょうか。
私たちが「当たり前」と考えて見過ごしてしまっていることに、気づかせて貰える機会ができたからです。実際、その方はPCも持っておらず、携帯電話もガラケーでした。こういった「ITにそれほど詳しくないユーザー」の声は、サービスのアップデートにも活かしていけます。
1か月ほどで一通りの作業をマスターしていただいたので、アウトソースを考えてから2か月目で「私にしかできない作業」に使える時間が増えてきました。月曜朝一番に外部の方と打ち合わせをしたり、企画や戦略を練ったり。KPIもアルバイトの方が数字を集めてくれているので、私はすぐに分析作業に入ることができるなど、とても楽になりました。
仕事、作業のアウトソースをすることは、資金、人的リソースの少ないベンチャー企業にはハードルが高く感じられますが、このような方法をとれば、低コストかつ少ない労力、短期間で実現することができるんです。
── 今後も仕事のアウトソースを考えているのですか?
今後は見積書や請求書の発行、郵送、展示会や打ち合わせ等でお渡しするパンフレットセットの作成、郵便物の発送や仕分け、確認、他にも旅費や経費の申請チェック、簡単なユーザーサポートなど、「明確な判断基準がある」と考えられる作業は、マニュアルを作成し「誰でもできる仕事」に変えていきたいと考えています。
正直、アウトソースを考える前は「アウトソースによるリターン」がこんなに大きいとは思っていませんでした。「アウトソースは手間とお金がかかるからベンチャー企業ではとてもできない」という思い込みを捨て、もっと早くやってみれば良かったと今は思っています。でも展示会と同じでやってみたからわかったこと、ですよね(笑)。
ベンチャー企業のマーケティング担当や個人事業主のかたは、経理や事務、企画、広報、ユーザーサポート、そして営業等々何でも一人でこなそうとしてしまいます。
ですが、仕事には「自分じゃなくてもできる仕事」がある。こうした”ルーチンワーク”をマニュアル化して極力アウトソースする。そして、マーケターとして「評価」「改善」その先の「計画」など「自分にしかできない仕事」に全力を注ぐほうがいいと実体験を通して強く思います。
私たちベンチャー企業は、作業をするために仕事をしているのではありません。新しいチャレンジをするために起業したのです。自分の仕事を振り返ってみれば、自分がやるべきこと、やりたいことに十分な時間を注げるように変わる方が、次のビジネスチャンスも掴みやすくなるのではないでしょうか。