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LINEマーケティング活用企業特集

2,400万人超リーチを達成!ROI至上主義文化のソフトバンクが、LINEへの投資を続ける理由

2,400万人超リーチを達成した、ソフトバンクのLINE活用術

岩本:これまで18回ほどスタンプ施策を実施してきましたが、そのスタンプは一つ一つ丁寧に作り込んできましたね。

MZ:18回!そんなに実施されてきたんですね。

岩本:毎回テーマを決めて、その時のテレビCMのコンテンツに合わせたキャラクターなどを活用しながら、お客様の使い易さを徹底的に考えて、クリエイティブの方向性を決めています。このような取り組みが功を奏し、施策を重ねる度にお客様からの反応は良くなっていますね。

MZ:スタンプ施策の効果は、ダウンロード数や使用回数などで判断されているのでしょうか。

ソフトバンク株式会社 サービスコンテンツ本部
eコマース戦略部 eコマース事業推進課 河合正憲氏

河合:そうですね。最も重視しているのは、新しく友だちになっていただいた方の人数です。スタンプ施策と組み合わせることで、その先に設計しているプロモーション施策へのリーチが大きく伸びていることからも、効果を実感しています。

岩本:加えて、どの時期にスタンプ施策を行うのが効果的か。プロモーションの観点と、ファンを獲得すべき時期を鑑みながら、実施しています。

MZ:18回も実施していると、ノウハウがすごく蓄積されていそうですね。

田端:弊社以上に持ってる可能性が……(笑)

一同:(笑)

河合:ソフトバンクのマーケティングの考え方としては、「ただ新しい施策にチャレンジする」ということではなく、「新しいもの、かつ効果があるかを検証する」ことが前提にあります。なので、スタンプ施策においては、毎回どれぐらいのダウンロード数が見込めるか、必ず仮説を立て、効果を見込んだうえで実施しています。そしてあらためて施策後に検証を行い、施策の効果を判断しています。裏を返せば、スタンプ施策を18回も実施しているということは、その効果をきちんと証明できているからこそ継続しているのです。

岩本:毎年、会社としてどの施策に予算を投じるべきかという議論をしていますが、LINEに関してはこれまで積み重ねてきた検証結果があるので、今では社内申請も通りやすく、継続しやすい環境にあります。弊社のスタンスとしても、他社に先駆けて新しいことをどんどんやっていこうという気運もあります。この前はLINEクリエイターズスタンプでヒットメーカーのカナヘイさんとのコラボスタンプを展開したりしました。

2015年3月から2015年4月にかけて提供していた、
カナヘイさんの「ピスケ&うさぎ」と白戸家お父さんがコラボレーションしたLINEスタンプ

MZ:話題性のある施策ですが、数値的な結果としても効果は表れているのでしょうか?

河合:カナヘイさんとのコラボスタンプ施策では、新しいLINEの友だちが300万人増えましたね。施策をスタートした6月2日の時点では、すでに公式アカウントの友だち数は2,000万人を超えていたのですが(2015年6月末時点では2,400万人超)、伸び悩むことなく大きな成果を得ることができています。

MZ:定期的にスタンプ施策を実施することで、新たな友だちの獲得だけでなく、ブロックしてしまってた人たちも、また戻ってきてくれそうですね。

岩本:そうですね。既存の友だちに向けても、リテンション的な施策となり、ブロック率を低減させる効果もあります。

「旅するお父さん」キャンペーンの裏側に、LINE ビジネスコネクトを活用

MZ:ソフトバンクさんは、LINE ビジネスコネクトも活用されているとか。(参考:連載「LINE ビジネスコネクトで実現するスマホ時代の1to1コミュニケーション」)

岩本:一時期、お父さんが日本全国を旅する企画「旅するお父さん」(以下、旅父)をテレビCMでやっていたのですが、それと連動したLINEのキャンペーンを2014年9月中旬から11月中旬にかけて実施しました。ソフトバンクのLINE公式アカウントと友だちになって、ソフトバンクのつながりやすさをチェックしていただいたお客様に、限定LINEスタンプを差し上げるというものだったのですが、ここにLINE ビジネスコネクトの仕組みを活用しました。

2014年9月から11月にかけて実施していた「旅するお父さん」キャンペーン

 企画の趣旨は、ソフトバンクのネットワークがいかにつながりやすいかを、お客様に実際に実感してもらうこと。テレビCMやネットで、「つながります!」と一方的にメッセージを発信したところで、お客様にとってはなかなか腹落ちしにくいですよね。

 なのでLINEのキャンペーンでは、実際に様々な地域でLINEからアクセスしてスタンプをダウンロードしてもらうことで、その地域のネットワークのスピードを体感してもらい、またビジュアルで伝えようと。例えば、ユーザーが鳥取からアクセスした場合、そこの地域の回線スピードが実際に何ギガ程度出ているといった情報が、スマートフォンの画面に表示されます。その情報を見ると、スタンプがダウンロードできる設計にしていました。

河合:これまでのLINEは、一斉配信が基本でしたよね。しかし本来のマーケティングのあるべき姿としては、お客様それぞれに適した情報やメッセージを送るべきですよね。LINE上で1to1コミュニケーションが実現できるLINE ビジネスコネクトは、我々としても待ち望んでいたものでした。

MZ:ネットワークの早さは、数字だけ提示されてもイマイチわかりにくいし、体感してやっとわかるものですよね。

岩本:だからこそ、この施策を通して実感してもらえたのか、後の調査で、特にLINEに接触した方々のネットワークイメージが上がりました。LINEユーザーはベースが大きいので、全体で調査しても効果が上がります。

河合:実は県別に、施策前後でのネットワークの満足度を比較してみたのですが、全国満遍なくスコアが上昇していました。仮説では首都圏や関東に結果が偏ると思っていたのですが、この結果をからLINEのユーザーが全国に広がっていることをあらためて実感しましたね。

LINEへの投資コストに対して、得られるリターンを綿密に仮説検証

MZ:大手通信キャリアの中で、ソフトバンクさんのLINEの友だち数は一番ですよね。先ほど岩本さんもおっしゃってましたが、競合他社に先駆けて新しいことに挑戦していくっていう意味で、一番初めに公式アカウントを開設するときもスムーズに社内の稟議は通ったのでしょうか?

河合:今でこそ、LINEへの投資は積極的ですが、公式アカウント開設までの道のりは険しかったですね。

岩本:正直なところ、説得はとても大変でした。コストがかからなければ新しい施策にも挑戦しやすいのですが、LINEに関してはかなりの投資額になってくるので。

田端:FacebookやTwitterの場合、企業がアカウントを持つこと自体は無料ですが、LINEの公式アカウントはミニマムで最初12週で1,000万円、その後もミニマムで250万円/月の費用がかかってくるので、決して安くはありません。でも実際に活用していただければ、その投資額に見合うリターンは得られるはずです。

岩本:河合さんと私で、かなり社内を説得して回りましたもん。本当に。

河合:投資コストに対してどの程度のリターンが得られるのか、とにかく仮説を立てましたよね。弊社が公式アカウントを開設した2012年当時は、LINEのユーザーは割と若年層の利用率が高い状況だったので、学割を訴求するマーケティングに活用する方向性でした。今では全世代にユーザーが広がっているので、その都度訴求する商材に合わせて、LINEを活用しています。

岩本:LINE公式アカウントを開設する当時から、顧客獲得に紐づけていくという目標を持っていました。ただ、FacebookやTwitterはどちらかというとブランディングに近いイメージがあったこともあり、LINEの施策も本当に獲得に繋がるのかと社内からは疑問視されていました。実際に始めてみると、予測していたリーチ数や来店数に近い成果が出ました。

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約9割が完全視聴/テレビCMとLINE動画の相乗効果のインパクト

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/10 10:00 https://markezine.jp/article/detail/22684

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