日本市場のニーズを製品へ反映してきた経験活かす
押久保:日本のマーケティングオートメーション領域では、2014年に始まったプレーヤーの参入がひとまず落ち着き、現在は各社が強みを打ち出しながら市場が拡大するフェーズを迎えています。
そんな折、デジタル業界において屈指の経験をお持ちのトニー・ネメルカ(ネメルカ・トニー)さんがオラクルに参画され、日本市場に一層の力を入れていく印象を与えました。今回はネメルカさんと、日本でのポストセールスを担う大山さんを迎えて、日本市場における今後の戦略をうかがいます。
押久保:まずは、ネメルカさんのご経歴を教えていただけますか?
ネメルカ:私のキャリアは、米ロサンゼルスのIBMで営業現場からスタートしました。有数の日本企業を担当し、日本の企業や業界関係者とのネットワークを築けたと思います。その後は日本、米シリコンバレーと拠点を移しながら、IT企業の日本支社長を務めたり、複数のベンチャー企業を立ち上げたりしました。直近ではマルケトの日本市場参入をサポートしました。一貫して、日本のニーズを吸い上げて製品やサービスに反映させる、日本市場へのローカライゼーションに携わっています。
改めて日本に拠点を移そうとしていた矢先、米オラクルのジェネラルマネージャー(以下、GM)から誘いを受けて2015年4月中旬に、米オラクルに入社しました。
押久保:オラクルへ参画された決め手は、何だったのでしょうか?
ネメルカ:デジタルマーケティングに真摯に取り組んでいくという、経営陣を筆頭にしたエグゼクティブレベルのコミットメントとその姿勢、そしてそのレベルが世界屈指であることですね。日本のニーズを把握するという私の得意分野が活かせると思いました。加えて、オラクルは長きにわたり日本市場に高品質な製品を提供しています。それだけで十分魅力的でした。
本国経営層との連携強化、日本でのマーケティングが加速
押久保:ネメルカさんのポジションは、日本オラクルのマーケティングクラウド統括本部長となっています。日本市場のポストセールスを担う大山さんの上司にあたるのでしょうか?
大山:正確には、上司の一人です。以前お話ししたように、Oracle Marketing Cloud(以下OMC)のチームはグローバルで動いています(※編集部:OMCの体制についてはこちらの記事で紹介しています)。そのため、営業やマーケティング、コンサルティングなど機能別に国を越えた報告・評価の経路があります。ただ、彼の役割はOMCチームの日本での各機能をとりまとめ、グローバルの戦略を日本の戦略に落とし込んだうえで、きちんと日本のお客様に向き合うチームとして連携稼動できるようにすることなので、その点では私たちの実質的なボスですね。本社の者は、彼を日本の“ゴッドファーザー”と呼んでいます(笑)。
押久保:なるほど(笑)。ちなみにネメルカさんの参画を聞いて、大山さんはどのような印象を持ちましたか?
大山:彼の経験と手腕は知っていたので、参画には納得でしたし、スピードが速い中でも安定的なビジネスの成長が見込めると思いましたね。組織上、彼は米国本社のOMCのGMへ直接レポートし、米オラクル社長とも非常に近い立場にいます。今まではAPAC全体でマーケティングクラウドが統括されていましたが、彼が日本のマーケティングクラウド統括本部長に就いたことで、より日本独自の課題やニーズが経営層へ届きやすくなる。その点で、日本のビジネスがより一層強力に進んでいくと感じました。
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