ミッションは番組制作ではなく新規事業の創出
── インターネット事業局の仕事は。
「Hulu」を中心とした動画配信事業、スマートTVのような新たなテレビ体験の創出、データ放送やスマホを活用した参加型コンテンツの開発などです。
例えば参加型コンテンツで言うと、朝の情報番組「ZIP!」の「Zip!deポン!」などが挙げられます。リモコンのdボタンを使って4択のクイズ番組に参加できるものです。スポンサーの商品をプレゼントにしますが、毎回100万人という規模で参加するため、商品の宣伝効果も大きく、追加の広告フィーを頂くこともできます。
── テレビってすごいですねぇ。
完全地デジ化の後に、100万人規模で参加できるような企画も登場し、価値が出てきたと思います。またテレビ番組の連動コンテンツの制作は、これまで限られたメンバーで行ってきましたが、最近ではWebコミュニケーションを得意とするバスキュールなどとも共同で制作しています。「Webクリエーターの方々と一緒に作ると、こんなに面白いのか」と実感しました。
── インターネット事業局の役割を教えてください。
視聴者とのタッチポイントを増やして事業を生み出す、ということです。テレビはほぼライブで視聴されていた時代から、録画したものや、ネット上の動画を見ることもできるようになり、視聴スタイルは大きく変化しています。でも前出の通り、当社の売上の約7割はテレビ広告で、視聴者や視聴デバイスの変化には対応しきれていないこどが課題です。今後、テレビ広告を補う新規事業を生み出すのが私たちの使命なのです。
── 「SENSORS」もその流れで生まれたのですね。
「SENSORS」は、番組とともにWebでのコンタクトポイントを重視して制作しています。月30本の記事配信を目標に、Web用の取材を行っています。そのなかの一部がテレビでも放送されている、というイメージです。これまでテレビに興味がなかった人も、Web経由でテレビに接することもあると期待しています。
また、SENSORSを通じて様々なクリエイターの方やスタートアップとコラボレーションする機会が生まれていますので、究極の形を申し上げると、「SENSORS」から新しいプロダクトが生まれたらそれもアリ、なのです。
── Webサイトのみならず、イベントにも積極的ですね。
私たちはSENSORSの「ファン」を育てたいと思っています。ファンとは、番組の視聴者だけを指しているわけではありません。今年3月に行ったリアルイベントには2千人以上の方が参加して下さいましたが、番組をご覧頂いていない方も多くいらっしゃいました。
参加者の75%は、20代と30代の若年層でした。テクノロジー系のイベントで、このような層が集まるのは珍しく、彼らがコアファンになっていただける、と感じました。