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大手企業を中心に導入進む「Domo」 データと社内の知見を集約、ビジネス成果を引き上げる

 ビジネス管理プラットフォームを提供するDomoは、今年4月に日本を含めグローバルでサービスをローンチしている。すでにYahoo! JAPANやリクルート、またEC企業ではオイシックスなど、数多くの日本企業の導入事例が上がっている状況だ。「データ活用は、あくまで手段。ビジネス上の“問い”に対する“回答”を提示し、意思決定を助けるのがDomoです」と、ドーモ代表取締役の水嶋ディノ氏は語る。  

ビジネスリーダーの意思決定に必要な情報を提供するDomo

MarkeZine編集部(以下MZ):2010年に創業された米Domoは、既存のBIツールを覆すビジネス管理プラットフォーム「Domo」を提供し、すでにグローバルで1000社以上に活用されています。日本でも、着々と導入企業が増えていますね。

ドーモ株式会社 代表取締役 水嶋ディノ氏

水嶋:Domoの考え方は、既存のBIツールとはまったく違う概念なので、日本でのローンチにあたっても共感し理解いただくところから地道に展開しています。その中で、当社サイトに企業事例として紹介させていただけるようなクライアントが多く出てきていることは、嬉しいですね。

MZ:では、Domoの特徴をうかがっていきたいと思います。まず、どのような点で既存のBIツールと異なっているのでしょうか?

水嶋:一言でいうと、Domoはビジネス上のさまざまな“問い”に答えるプラットフォームです。企業の持つデータを、ひとつのダッシュボード上で可視化し、データの中に眠っている“回答”を提供します。どんな企業も、データ分析やレポーティングすることが目的ではないですよね。例えば営業本部長なら、「今四半期の目標は達成できるのか、そのための商談数は足りているのか」といったことを知り、今後の策について意思決定をするためにデータを活用したいわけです。

 Domoではデータ分析の細かい知識や複雑な操作なく、ビジネスリーダーやマネージャーが意思決定するのに必要な情報を提供することができます。

知りたいのは、ビジネス上の“問い”に対する“回答”

MZ:データ活用の知識なく使えることを謳うツールは、これまでも出てきているかと思いますが、今言われたような「ビジネス上の問いに答えてくれる」というのは初めて聞きました。

水嶋:ビジネス上の問いに対して回答を提示する、そのために必要な機能性をひとつのクラウドベースのプラットフォームに集約したツールは、Domo以外にないと思います。領域としては、ビジネスインテリジェンス(BI)と呼ばれるジャンルに属しますが、我々は「ビジネス管理プラットフォーム」と称しています。その名の通り、ビジネスを管理するためのプラットフォームです。

 確かに、専門知識なく操作できるデータ活用ツールとしては、Domoは後発です。でも、そういった既存の「データを活用しましょう」と標榜するシステムを使いこなし、実際にビジネス成果を上げている企業は多くないのではないかという印象を持っています。

MZ:本質的なデータ活用には、まだ至っていないと?

水嶋:できている企業も一部あると思いますが、なかなか難しいところです。例えば、既存の考え方に「データを統合しよう」というアイデアがあります。企業内の全てのデータを、まずひとつの箱に統合し、そこからレポートを作成して何らかのヒントを得ていこうという発想でした。ですがDomoの考え方としては、必ずしも全てのデータを統合する必要はないのです。

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ツールにもリアルタイムで判断できるスピード感が不可欠

MZ:全てのデータを統合しなくてもいいのですか?

水嶋:ええ。どこにどんな形であるのかが分かっていれば、必要に応じてそれを引いてくればいいのです。

 例えば、冒頭でお話しした営業本部長の例なら、「今季の目標達成のために商談数は足りているのか」を知りたい場合、企業内のあらゆるデータを統合する必要はありませんよね。どんなデータがどこにあるのかが分かりさえすれば、知りたいこと=“問い”を発端に、必要なものを選択的に使えればいい。逆にいえば、その問いに回答するためのデータがそもそも社内にないのなら、どれだけ企業内のデータを集めても答えを提示することはできません。

 そこが、既存のBIと呼ばれる領域のアプローチと根本的に違う点です。

MZ:Domoは発想の順番が違うんですね。“問い”ありきでデータを分析し、回答を提示して、迅速に意思決定できるようにすると。

水嶋:そうですね。かつてはソフトウェアやIT部門がデータを扱って、マーケティング部門の知りたいことに応えていたと思いますが、今やそのスピード感ではまったく追いつきません。リアルタイムで、ビジネスの意思決定を行う人が直接回答を得る必要があるので、ツールの側も自ずと、それに即したものになるべきだと考えているんです。

データだけでなく人の知見もシェアできるダッシュボード

MZ:では、もう少し詳細にツールについてうかがいたいのですが、具体的にどんな観点でダッシュボードをつくられているのでしょうか?

水嶋:ダッシュボードは、誰が使っても使いやすい状態でないと意味がありません。その点では、Domoのダッシュボードは「ユーザー体験」を最も重視しています。

 以前、ビジネスリーダーが抱えるデータへの不満について、当社で調査したことがあります。その中のデータをどの様に受け取っているか、何が理想かという質問には「電子メールやスプレッドシートで受け取ることが多いが理想はダッシュボード」という調査結果になりました。

 とはいえ、ここでの真意としては「ダッシュボード」が重要だというよりも、自由に操作して意思決定のための情報を得られる何らかの画面なり、機能がほしいわけですよね。ですから、使いこなせるという点が不可欠です。

MZ:なるほど。実際の画面の特徴を、少し解説いただけますか?

水嶋:Domoのダッシュボードは、ネットを普通に使っている人ならなじみのある情報設計になっています。ページ構造になっていて、その中に「カード」と呼んでいるグラフがひとつずつ表示されます。また、DomoBuzzというコラボレーション機能があり、そこでユーザー同士、意見交換をしながら意思決定をすることができます。

 Domoでこだわっているのは、データと同時に、こうやって人の知見もシェアすることなんです。

ダッシュボード画面(クリックで拡大)

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ユーザー体験を考え抜いたインターフェース

MZ:マーケターが活用するだけでなく、ダッシュボードを経営者や他部門など複数の人がそれぞれ見ながら、議論ができるんですね。

水嶋:ええ。マーケティング部門では、先ほどお話しした様にリアルタイムで判断を下したり、広い視野でキャンペーンを展開している場合などに、各手法を俯瞰的に捉えて「マーケティング活動に対する投資対効果は目標値を上回っているか」といった問いの答えを得ることができます。詳しくはDomoのマーケティング活用紹介ページを見ていただければと思いますが、それ以外にも経営者はもちろん、最終的なビジネス成果の向上には営業部門やサービス部門との連携も非常に重要です。

 Domoでは、ビジネスユーザーに合わせてUIを設計しているので、本気のユーザーエクスペリエンスデザインを追求していると自負しています。誰にでも直感的に使えるものでなければ、他部門との議論も活性化しません。社員の知見を活かすためにどういう体験が最適なのか、学術的にも実務的にも考え抜いて設計している点は、多くの企業に支持されている一因だと思っています。(関連記事はこちら

MZ:確かに部門横断的に使って、異なる視点での意見が出るからこそ、新しい発想や解決策も生まれそうです。

水嶋:まさに、それがDomoで実現したいことです。ビジネス上の問いと回答があり、それがまた次の問いを生む。その上で意思決定をしていくことで、ビジネス成果が得られるのです。

議論が深まるからこそ最適な意思決定ができる

MZ:ときには経営層との議論が生まれたりも?

水嶋:よくあることです。意思決定するのは経営者や部門長でも、例えば展開中のキャンペーンについてSNSにちょっとネガティブな書き込みがあったなど、最新情報は現場の方が知っているかもしれません。そういった最新情報と知見を得て、議論もできて、意思決定ができる。それがDomoです。

 データ活用に慣れない企業には、セールスフォースやFacebookといったアプリケーションごとに、まずは押さえておきたい指標を表示するQuickStartという機能が有効です。それを使いつつ、当社のコンサルタントがビジネス上の課題をうかがいながら実装を支援して、効果的な活用へつなげます。

MZ:では最後に、今後のサービス展開についてお教えください。

水嶋:グローバルに比べれば、日本はまだこれからです。まずは、Domoの考え方を知っていただくところからですね。

 英語には“disruptive innovation”、破壊的な革新という言い方がありますが、Domoもこうした部類のまったく新しいサービスだと捉えています。データ、さらに人の知見を集約して力強くビジネスを発展させられるこの仕組みを多くの企業にお伝えし、我々のアプローチに賛同いただける方のパートナーとして、今後も成果を上げていければと思っています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/09 11:18 https://markezine.jp/article/detail/23080