これまで日本では、売上をたてる営業部門の立場が強く、マーケティング部門との連携などもってのほかという状況がありました。しかしその間、米国企業はCMOを頂点とするマーケティング部門が案件の創出にも深く関わってきました。マーケティングによって生み出した案件をセールス担当者がクロージングするための組織、システムを構築してきたのです。
よく耳にするようになった「マーケティングオートメーション」もそのひとつで、SFA(セールスフォース・オートメーション)と呼ばれる営業案件管理ツールに案件を供給する役割を担うツールです。このマーケティングオートメーションのベンダーが一気に市場に参入してきたことから、日本では「マーケティングを自動化してくれる?それはすごいね」という誤解も生まれてきました。
『BtoBのためのマーケティングオートメーション 正しい選び方・使い方』は、これから日本企業がマーケティングオートメーションを正しく導入するための基本的な知識を、BtoBマーケティングのプロフェッショナル、庭山一郎氏が解説しています。
本書を通じて、マーケティングオートメーションがなぜ生まれたのか、その歴史的な背景、各種ツールの出自とそれがどのように機能するのか理解することができます。その前提として「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」と呼ばれるプロセスを「デマンドジェネレーション」として包括的に解説しています。
以下の図に示すように「MQL」と呼ばれるマーケティング活動によって創出された案件と、「SQL」と呼ばれる営業活動によって絞り込まれた案件の2つがあり、SQLには「SAL」と「SGL」の2つが含まれます。このうち「SGL」はいわゆる「引き合い」と呼ばれるもの。日本企業はこの引き合いに依存しており、顧客の新規開拓を苦手としていると、庭山氏は指摘しています。日本企業がこうしたリードを的確に管理し、異なる部門が連携してクローズするためにはさまざまな調整が必要。本書は長くこの領域に取り組んできた庭山氏ならではのノウハウを多数紹介しています。
本書の後半では、主要なマーケティングオートメーションベンダー7社への取材をもとにした製品紹介、実際に導入を経験した企業担当者が語る貴重なインタビューを掲載。最終章では、営業の現場でしのぎを削ってきた4人のエキスパートを迎えた座談会も収録しています。
本書を読めば、「これまで営業のことなど考えてこなかった」というマーケティング部門の人も、「マーケティングって何をするもの?」と思っていた営業部門の人も、新たな時代のビジネスのやり方を学ぶことができます。本書は9月18日刊行。アマゾンでは9月19日に発売です。
【目次】
第1章 マーケティングオートメーション その歴史と役割
なぜ今、マーケティングオートメーションなのか?
マーケティングオートメーションを選ぶために理解しなければならないこと
日本がマーケティング後進国になった理由
デマンドジェネレーションとは
デマンドセンター、それは営業を本質的にサポートする仕組み
デマンドセンターが必要な3つの理由
第三世代のSFAの補完機能として誕生したマーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションの「ルーツと個性」
代表的なマーケティングオートメーション製品
第2章 デマンドジェネレーションの4つのプロセス
デマンドジェネレーションの4つのプロセス
①「リードジェネレーション」~データを収集する3つのチャネル~
個人を特定するためのいくつかの手法
②「データマネジメント」~料理の下ごしらえはしっかりと~
「名寄せ」の難しさ ~表記揺れで起きるトラブル~
③リードナーチャリング ~「発芽したニーズ」を育てる~
BtoBにおける3つのブランディング
④リードクオリフィケーション~スコアリングによるリードの絞り込み~
第3章 マーケティングオートメーション導入で実現する新しい世界
アカウントベースドマーケティング(ABM)の潮流
全体最適を実現するために
ハウスリストの価値を根底から問い直す「インバウンドマーケティング」という考え方
第4章 導入に失敗しないために
「屍の山」を築かないために今やるべきこと
導入に失敗しないための7つのポイント
第5章 主要ツールベンダー7社に聞く、自社製品の特徴
マーケティングオートメーションの主な機能
Oracle Cross-Channel Marketing Platform
Marketo
Silverpop Engage
Adobe Campaign
Salesforce Pardot
Microsoft Dynamics Marketing
HubSpot
第6章 導入企業の事例に学ぶ
日本電気株式会社
ルネサス エレクトロニクス株式会社
ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
第7章 座談会「営業が本当にほしいリードとは」
用語解説