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カスタマージャーニーを“妄想”で描かない!一人ひとりの行動を可視化し、事実ベースのマーケティングを

ログデータで一人ひとりの行動を把握してからボリュームゾーンを捉える

MZ:三宅さんが言われた本来のカスタマージャーニー発想を実践するとき、何が最初のステップになりますか?

三宅:繰り返しになりますが、まずは実際の顧客行動をファクト(事実)として把握することです。

 顧客行動を把握する手法はいくつかありますが、デジタルマーケティングに限ると、ログデータを見ることを推奨しています。なぜならそれが、事実だからです。

 とはいえ、当社も長く顧客中心のデジタルマーケティング支援を行っていますが、ログデータだけですべてを解決できるとは思っていないのです。オンラインで取得できるログが、顧客との接点の中でそれなりの割合を占めるような業態の場合は、とても有効ですね。例えば検索行動が頻繁に行われるECや人材ポータル、不動産などです。購買の前に、Webで比較検討をするようなサービスもマッチします。

MZ:なるほど。ただ、具体的に施策を展開する段階では、ある程度のボリュームのターゲットを見出してアプローチする必要がありますよね。

三宅:そうですね。ボリュームを確認する必要がありますが、多くの場合、行う順序が違ってしまっているんです。一人ひとりのユーザーが具体的にどういう行動をとっているのかを把握せずに、ボリュームがあるからという理由だけで行動を捉えようとすると、的を射ない施策になってしまう。

 例えば、ECサイトの分析を行う場合を考えてみましょう。「TOPページ」から「商品カテゴリページ」へ行って、「商品詳細ページ」へ行くという行動の割合が多いという分析を出したとしても、何も得るものはありません。なぜなら、ECで商品を購入する当たり前の行動だからです。

 このように考えれば、顧客行動を捉えずに分析しても意味がないということはよく分かると思うのですが、とかく最初はボリュームだけで考えがちです。

 そうではなく、ログデータで一人ひとりの行動と心理を明らかにした上で、どういうパターンの人が多いのかを見出し、そこに有効な施策を検討するのが正しい道筋です。

「比較したい」心理を踏まえて資料請求を伸ばしたセキュリティ企業

MZ:つい、成果を焦ると顧客を“群れ”で捉えようとしてしまいがちですが、個を捉えるステップがないと意味をなさないわけですね。では、顧客のログデータを元にしたカスタマージャーニーの把握について、具体的な事例を教えていただけますか?

三宅:例えば当社がコンサルティングで携わったあるセキュリティ企業様では、顧客の行動と心理を踏まえてWebサイトのコンテンツを改善し、資料請求が6倍になりました。

 個人宅のセキュリティで重要なのは、有事の際にいかに速く駆けつけてくれるか。となると、自宅と最寄りの拠点との距離が近い方がよく、おのずと拠点数が多い企業が安心だということになります。でも、顧客はそう説明されないと分からないので、Web上で比較すると分かりやすい価格だけで選ぶというケースが多かったんです。

MZ:どうやって、説明が必要だと分かったんですか?

三宅:最初は「防犯」などのビッグワードからサイトを訪問し、一度出て行って、数回後には指名検索で流入する人が多いからです。この間に他社サイトを訪れ、同じようにチェックしているのです。これは、生の声を聞くモニター調査からも明らかになりました。

 この場合、最初にサイトへ訪問した際に「他社と比較したい」と思うのは心理として当然です。なので、離脱は前提にしながら「大事なのは安全性、その比較軸は拠点数です」と伝えるコンテンツを用意し、またサイトへ来ていただけるように促しました。実は同社は拠点数で群を抜いているので、結果的に再来訪時の資料請求が大きく伸びたわけです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/10/21 14:00 https://markezine.jp/article/detail/23230

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