広告枠の価値に見合う入札を実現するPMP
従来の純広告やアドネットワークの仕組みから、RTBの取引がメーンになりつつある今、マネタイズを最大化したいメディアにとってはRTBはもはや欠かせない仕組みとなっている。
そこへ現在、「プライベートマーケットプレイス(以下、PMP)」というRTBの進化型ともいえる仕組みが広がり始めている。fluct ビジネス戦略・プロダクト開発担当取締役の小澤昇歩氏は、「オープンオークションと呼ばれる通常のRTB取引に対して、限られたDSPおよび広告主に細かいメディア情報を開示し、より高値での取引を実現するのがPMP」と解説する。
同社は旧社名・adingoとして日本最大級のSSP「fluct」を提供し、7年にわたりメディアの収益最大化を専門に事業を展開。2015年10月1日に社名をfluctに改め、翌2日にはGoogleが新設した「サイト運営者向けGoogle認定パートナー」に、日本ではわずか2社の事業者のうち1社として認定されたことを発表するなど、根幹事業であるメディア支援の勢いを増している。
とりわけGoogleとの関係については、多くのメディアが利用している広告配信サービス「Google AdSense」や、よりプレミアムなメディア向けのPMP「DoubleClick Ad Exchange」の活用サポート実績が認められた形だ。
DSPとSSPとの直接取引により成立したRTBの仕組み
小澤氏は、これまで6,000以上のメディアの広告収益最大化を手がけてきた経験から、「リアルタイムで広告枠を売買するRTB取引の登場によって、メディアのマネタイズ事情は大きく変わった」と語る。まず、RTB取引の概要を押さえておくと、RTBとは広告主側のプラットフォームであるDSPと、メディア側のプラットフォームであるSSPの間で行われる取引の名称だ。
ユーザーがサイトを訪れて広告枠が発生した段階で、その枠に広告を配信したい広告主から入札を受け付け、勝者を決定する……という一連の流れを約0.1秒で完了する。広告主がどのようなユーザーを求めているのか、そのニーズを把握しているDSPと、具体的にどのようなユーザーに今インプレッションが発生しているのかを把握しているSSPとの間で広告枠のオークションを直接行っている。SSPが登場したことで、メディアは複雑なオークション取引を自身でハンドリングせずに、収益を最大化できるようになった。
「DoubleClick AdExchange」によるマネタイズは
fluctにおまかせ!
fluctは、Googleの「サイト運営者向けGoogle認定パートナー」に、日本ではわずか2社の事業者のうち1社として認定されました。メディアの効果的なマネタイズを実現したい読者の皆様、まずこちらよりお問い合わせください。fluctが「DoubleClick AdExchange」を利用したマネタイズを提案します。
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RTB取引が一般化、プレーヤーが増加し市場が不透明に
では、現在広がりつつあるPMPとは、どのようなものだろうか?
小澤氏は「プライベートという名の通り、限られたDSPやクライアントに対してのみ行うRTBの仕組み」と解説する。SSPが取り扱うたくさんの広告枠の中で、特に価値の高いプレミアムな広告枠を集め、事前に取り決めたDSPのみから入札を受け付ける。
背景にあるのは、RTB取引が一般化したことによるプレーヤーの増加だ。そもそもオークションでは、入札する参加者が多いほど高値が付く可能性がある。この原則に則って、従来型のRTB取引でもできるだけ多くのDSPが参加することが歓迎されてきた。従来型のRTB取引は、言うならば「オープンオークション」。どの事業者にも開かれた取引が基本だ。
実際、今やDSP事業者は欧米や日本以外にもインドや中国など各国に存在し、インプレッションごとに世界中のDSPから入札がある状況だ。SSPとしては確かに在庫を効率的に販売でき、その価格の最大化も見込めるが、「自分たちが預かる枠にどのDSPから広告が配信されているのか分からない」という課題が挙がっている。特定のDSPと密に取引をして関係性を強めたり、特定の広告主を優先したりすることもできない。
同じくDSPでも、接続するSSPの増加によって取引対象の広告枠の数が膨大になり、それらを精査しきれないことが課題になっている。より詳細な枠の情報を得て、価値ある枠になら高値で出稿したいというニーズがある。
詳細な広告枠情報を開示し、適正価格での入札促す
「オープンオークションではプレーヤーが多いことによるメリットもありますが、一方でマーケット全体が不透明になるというデメリットがあります。そこで、DSP、SSP共に透明性のあるマーケットの中で、安全に取引できる場のニーズが高まり生まれたのが、PMPです」。
PMPを通して広告枠を販売すると、多数の参加者が入札することによる価格の最大化とは違うロジックで、さらなる高値を見込める。前述のSSP、DSPそれぞれの課題を踏まえて、SSPがあらかじめプレミアムな枠を厳選し、DSPへその枠の価値を正しく提示することで、それを判断材料にDSPは低リスクで入札できるからだ。そうなると、これまで以上に強気な入札も可能となる。
小澤氏は「メディアにはぜひ、PMPの活用をお勧めします」と強調する。その理由は、PMPに参加する過程で自社メディアの情報を整理し、広告主に価値を正しく伝えることが必要になるからだという。
「オープンオークションではあまり枠の情報が意識されず買われていくことも多くありました。いくらメディアが頑張ってサイトやユーザー、枠の情報を正しくDSPや広告主に伝えても、その見返りは必ずしも多くはなかったんです。しかしながら、PMPは枠の価値をしっかり伝え、それを理解するDSP・広告主に高く買ってもらう仕組みなので、メディアが枠の情報を整理することが出発点になります。つまりメディアの努力が結果として跳ね返ってきやすいのです」。
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大切なのは、自社メディアの情報を整理してDSPに伝えること
小澤氏は、実際にメディアがPMPに参加する際、メディアの特徴を整理して正しくDSPに伝えること、そして適切に値付けをすることの2つが大切だと指摘する。
今、広告枠の種類や数が膨大になり、メディア自身も管理しきれなくなっている。「どこに何の枠があり、何を配信しているのか、当社の感覚だと約7割の担当者が把握しきれていない状況」と小澤氏。枠の名前やカテゴリすら正しくつけられていない状態も多いそうだ。しかしそれでは、カタログがなく商品を選んでいるようなものなので、DSPの管理画面で入札するにも選びようがない。
fluctでメディアを支援する際には、枠名やサイトの説明文、サイズなどDSPに送られる情報をすべてコンサルタントが見直し、よりサイトや枠を魅力的に伝えられるように書き直しも手がけているという。
PMPを行うときに複数SSPの利用は絶対NG
最終的に収益の最大化を図るには、各取引での最適なフロアープライス設定が重要だ。ただし、究極的にはインプレッションごと、時間軸でも最適なフロアープライスは変わるので、この最適解をメディア自身が見つけるのはかなり難しい。特に気をつけなければならないのは、複数のSSPやアドネットワーク、アドサーバーを利用しているケースだ。このケースでは、それぞれのSSPやアドサーバーの中だけで個別最適されてしまい、サイト全体の本当の最適解がわからなくなってしまう。
小澤氏は講演中「PMPを行うなら複数のSSPやアドサーバーを利用することは絶対にオススメできません」と何度も警告を鳴らしていた。 「プロセスが見えないと、PDCAを回せず、改善もできません。データも分散します。PMPを行うなら多くの知見を持つ信頼できる事業者を1社選び、その会社と中長期的に付き合っていくべきだと思います」。
fluctでは、現在PMPによるマネタイズを希望するメディアに対し、冒頭で紹介したGoogleの「DoubleClick Ad Exchange」を紹介している。世界トップクラスのシステムに加え、Googleが保有する膨大な広告主リソースと高い親和性を持って接続をしていることが最大のメリットだという。すでに複数のプレミアムメディアが「DoubleClick Ad Exchange」の利用を始めており、単価や売上が倍増するなどの成果が上がっている。
小澤氏は重ねて、「今後のマネタイズにはメディアが広告枠の情報を正しく伝えることが何より大切」と強調する。「収益が上がっているメディアほど、枠の設定がきれいに整理されています。PMPの検討をきっかけに、ぜひ一度、枠の設定を見直していただければと思います」。
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