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動画マーケティングの新たな評価指標は「シェア」/視聴者のアテンションを勝ち取る、動画施策の共通項

成功する動画キャンペーンの共通項

イアン氏:また、ビューの価値について、今一度考えてほしい。たとえばYouTubeのビューカウンターは、誰にでもわかるパブリックな指標なので、マーケターは好んでKPIに設定しています。しかし、その施策のターゲット層、すなわち見て欲しい人に見てもらったビューでなければ、意味がないのではないでしょうか。

 「ビュー」とはいっても、いろいろな種類のビューがあります。YouTubeのTrueViewでは、見たいコンテンツの前に広告があるので、あまりアテンションが取れない設計になっています。一方、アンルーリーで配信する場合は、見る人に選択肢を与えるフォーマットなので、見る意思のある人、もしくは誰か親しい人からシェアをされてきて動画を見ます。それぞれのビューの価値が異なることは理解いただけるでしょう。

――成功する動画キャンペーンの共通項はあるのでしょうか?

イアン氏:1つ目は、良質なコンテンツを作成すること。2つ目は、適切な時期とタイミングでターゲティングを行い、狙った人にきちんと届けるディストリビューション戦略を実施すること。3つ目は、キャンペーンのターゲットグループの中に、反応の高いサブターゲットを見つけること。

 

イアン氏:例えば、ペット用品メーカーであるネスレ ピュリナ ペットケア社の「Puppyhood」の動画では、全パネル・グループを通じて「ハッピー」「温かみ」という感情反応が高かったのですが、特に16~24歳の女性が強い感情反応を見せ、ブランド想起や購入意向も高くなりました。ターゲットの中でも、特に反応がいい層を外さないことが重要です。

――では、日本の動画市場は、今後どのような展開をしていくのでしょうか。

イアン氏:来年は企業による動画が大きく増えるでしょうが、まだテレビCMをオンライン動画で使うケースが多いでしょうね。ただ3~4社程度の企業は、オンライン専用の動画を作る重要性を理解し、実施する広告主が出てくる。その企業たちが先駆者として、市場を牽引していくでしょう。彼らは競合他社よりも大きく成功し、それによって競合企業たちもオンライン動画の重要性に気付いて動き出し、2020年までには大きな地殻変動が起きるのでは。その頃には、より多くの企業がオンラインかつ国内専用の動画を作成する流れが主流になっているでしょう。

 また、プログラマティックターゲティングについては、日本市場はまだまだこれからのステージです。あまり活発化していない理由としては、個人情報保護法の問題もありますが、2020年には規制の緩和とともに環境が整備され、その市場は大きくなっているのでは。

――日本の動画広告は、まだまだ原始的カタチのものが存在しています。メディアのマネタイズを実現しつつ、ユーザー体験を阻害しない。そのバランスが取れた動画広告のあり方とは、どのようなものなのでしょうか。

イアン氏:バナーはクリック率もとても低く、見る人たちをいらいらさせてしまいます。バナーはできるだけ減らして、その代わりに文脈に合った質のいいコンテンツをメディアに溶け込むようなかたちで訴求すべきでしょう。見る人が楽しめる広告のほうが指示されますし、マネタイズもうまくいきます。視聴者に見たいと思ってもらえるコンテンツを作ることができれば、広告が見ている人たちの邪魔をすることはありません。それを実現するためには、メディアと広告主が共に協力していくことが必須です。そして、メディアと広告主の間をつなぐのが技術・テクノロジーであり、その支援をしていくのがアンルーリーの使命です。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/25 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23463

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