林・篠原プロデュースによる「西川貴教」の活用法とは
鹿毛氏は、ここで、「林さんと篠原さんに『新・西川貴教』をプロデュースしてもらいましょう」と語り始めると、林、篠原両氏は考えてきた企画を発表した。
「私が考えたのは、『総括する人』という企画です。西川さんに日曜日の深夜、テレビ放送が終了する瞬間に、『今週寒かったわ―』など15秒程度で一週間を総括してもらいたいなと。120万に届いているツイートと、テレビを使ってつぶやくことの反響の違いを検証できればと思い企画しました。最後にエステーさんの消臭力のCMを流せばベストですね」(篠原氏)
「私は、『西川さん棒』というのを作成しました。カメラ越しにこの棒をかざすと、西川さんがとなりにいるように見える写真が撮れるんです。消臭力のパッケージを切り抜いてできるので、広告にもなりますね」(林氏)

両氏の出した企画は西川氏にも好評で、鹿毛氏は「会場の盛り上がりをみても、こういった企画が良いクリエイティブといえるのではないでしょうか」とまとめた。
重要なのは近くの人に喜ばれるクリエイティブかどうか
最後に鹿毛氏の「あなたにとって、クリエイティブとは?」という質問に対する、3名のパネリストそれぞれの回答を紹介する。
「現在、『イナズマロックフェス』という音楽フェスを地元の滋賀で毎年開催しています。今こそ、規模も拡大して地域の振興を目的としていますが、実は母が倒れて、看病に行きたいけど仕事でなかなか滋賀に帰る時間が取れず、帰るために何かできないかというのがきっかけだったんです。
ここで伝えたいのは、社会の多くの人にとって良いことを考える前に近い存在、例えば家族とか友人に刺さるクリエイティブを考えた方がいいということです。それができていないと、結果的には、伝えたい人にも避けられてしまうと思っています」(西川氏)
「良いクリエイティブは楽しすぎて徹夜できてしまうくらいなものになると思っています。そういったものを提供していきたいですね」(林氏)
「今、デジタルやソーシャルメディアの世界を中心に多くの変化が起きています。ただ、その変化はあまり関係ないと思っていて、結果として面白いか面白くないか、そしてその前に届いているかどうかという基本に忠実であれるかがクリエイティブにおいては重要です」(篠原氏)
パネリストそれぞれで伝え方は違えど、いかに受け手にとって「面白い」と思ってもらえるかを説いているのが伝わるコメントであった。今回のパネルディスカッションでは、クリエイティブを考える人材全てに必要となる「人の心のツボを押す秘訣」を明らかにしたのではないだろうか。