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Yahoo!広告活用の今を追う(AD)

ソーシャルを“科学”し、拡散する方法論を確立 「BuzzFeed Japan」とネイティブ広告の展開

 スマートフォン版やアプリ版Yahoo! JAPANトップページの刷新、それに伴う広告ソリューションのリニューアルと、近年まさにドラスティックな変革を続けているYahoo! JAPANによる本連載。今回は、米国で圧倒的な人気を誇るバイラルメディア「BuzzFeed」が、ヤフーとの合弁会社により「BuzzFeed Japan」をローンチしたニュースに注目。ヤフーのコンテンツマーケティング事業を統括する水上智臣氏に、日本での展開をうかがった。

若者・スマートフォン・ソーシャルに圧倒的に強いBuzzFeed

MarkeZine編集部(以下MZ):今年1月、「BuzzFeed Japan」が公開になりました。昨年夏に米BuzzFeedとヤフーによる合弁会社「BuzzFeed Japan」の設立が発表され、新メディアの運営が始まっています。

 今回は、BuzzFeed Japanで目指すところ、ヤフーとの関わりなどをうかがいますが、まずは米BuzzFeedの概要を教えていただけますか?

水上:BuzzFeedは、2005年にハフィントンポストを共同創設したジョナ・ペレッティ氏が翌2006年にオープンした、ニュースとエンターテインメントが中心の、グローバルそしてクロスプラットフォームなメディアです。近年は報道や調査のコンテンツにも力を入れており、世界各国に報道記者を配置しています。

ヤフー株式会社 メディア・マーケティングソリューションズグループマーケティングソリューションズコンテンツマーケティング事業本部長 水上智臣氏
ヤフー株式会社 メディア・マーケティングソリューションズグループ
コンテンツマーケティング事業本部長 水上智臣氏

 日本でも「このドレスが何色に見えるか?(What Colors Are This Dress?)」という話題がありましたよね。これは、BuzzFeed発の記事で、その投稿は24時間で2,940万回閲覧(※)されました。

 ※BuzzFeedアプリでの閲覧数を含まず

MZ:そうなんですね。規模や主なユーザー、利用状況などは?

水上:規模に関しては、BuzzFeedのサイト、複数のアプリ、そしてFacebook Video、YouTube、Snapchatなど30以上のプラットフォーム上における月間コンテンツビューは、2015年に60億を超えました。

 BuzzFeedは、有能なレポーター、ストーリーテラー、ビジネスマン、エンジニア、デジタルビデオプロデューサーを抱えた、ニュースやエンターテインメントにおいて先進的なソースです。多くの若者世代に読まれ、モバイルやソーシャルからのトラフィックが大部分を占めます。つまり、若年層×スマホ×ソーシャルに強いメディアといえると思います。

ビジネスモデルはネイティブ広告、米では主流に

MZ:ビジネスモデルは広告ですか?

水上:はい、ビジネスモデルは広告収益で、ネイティブ広告による収益がメインです。

MZ:なるほど。最近はネイティブ広告が話題に上ることが増えていますが、バイラルメディアとは相性が良さそうですね。BuzzFeedは確かに、バズりやすいコンテンツのつくり方がうまく、ソーシャルに強いという印象があります。そもそも、なぜBuzzFeedとヤフーが組むことになったのですか?

水上:合弁会社設立を発表したのは2015年夏ですが、実際にはさらに1年ほど前から、日本で一緒にやろうという話を重ねてきました。私たちから見たBuzzFeedは、既存のメディアと考えていることがまったく異なっていて、以前から注目していました。

MZ:どういった点が、特に異なるとお考えでしたか?

水上:大きくは2つあります。ひとつは、メディア運営においてソーシャルを大事にしている点です。言葉で言うのは簡単ですが、例えば日本のWebメディア全般を見ると、ポータルに載ることや検索で発見されることに重きが置かれていますよね。

 ヤフーはポータルサイトの運営元であり、このトラフィックももちろん重要だと思っていますが、BuzzFeedではコンテンツへの誘導の多くがソーシャル経由です。

複数のSNSをまたいだ拡散をすべて追って数値化

MZ:ということは、SEOなどからの誘導がかなり低いということですね。

水上:ええ。これが2つ目のポイントに関連しますが、バズを最大化するため、BuzzFeedではコンテンツの展開をすべて数値化しています。どのWebメディアもシェア数やRT数はを把握していると思いますが、その話題はまた誰かがシェアし、SNSを横断して広がっていきます。

 BuzzFeedは一次展開だけでなく、その先まで効果を測定しています。さらに、それを分析して、拡散するコンテンツについて一定の方法論を確立しています。いわゆるメディア企業というより、ソーシャルを徹底して“科学”している、データカンパニーなんです。もともと、ペレッティ氏の「人はどういうコンテンツをシェアするのか?」という純粋な興味をコンセプトにしてできた会社なので、こういう素地があるのでしょうね。

MZ:なるほど。具体的には、どのような方法論があるのですか?

水上:(テーマ+フォーマット+配信先+ユーザー)=Ideaといった形に、コンテンツ作りを因数分解しています。例えば、米では流行る3つのテーマがあります。

 「背の低い女性が海外旅行に行ったらよくあること」といった“あるある”ネタ(IDENTITY)、かわいい系や感動系などエモーショナルネタ(EMOTIONAL)、そしてノウハウなどのインフォメーションネタ(INFORMATION)があります。

(テーマ+フォーマット+配信先+読者)の方程式でバズを最大化

水上:フォーマットは、「○○なら見るべき20選」といったリスト記事や、診断コンテンツなど、数多くあります。これらに、Facebook、Twitter、Pinterestのどれが最もバイラルするかを組み合わせます。

MZ:それは、徹底していますね。オリジナルコンテンツということで、記者が個々の記事を手がけていると思いますが、こうした方法論に沿って書けるようになっているのですか?

水上:そうです。先ほどのようなサイエンスデータを元に、データサイエンティストではなく普通の記者やエディターが記事を書きます。バイラルを意識しながら記事をつくれる環境が整っているんです。

 ポータルサイトとしてのYahoo! JAPANは私たちの自社メディアですが、トラフィックは担保できても、コンテンツづくりに強いかというとそうではありません。一方でここまで徹底したBuzzFeedの手法を見ると、やはりレベルが違うなと。良質なコンテンツの送り手の支援、また、ネイティブ広告の確立という点でも、協業して日本市場で展開したいと考えたのです。

ネイティブ広告でも編集記事と同等の価値化を狙う

MZ:ネイティブ広告についてもう少しうかがいたいのですが、先ほどのバズを狙えるコンテンツの方程式で、ネイティブ広告も展開しているのでしょうか?

水上:はい。そこが強みであり、日本企業が最初は戸惑う点かもしれません。企業が伝えたいことを記事化するのではなく、あくまで「シェアされる価値のある内容は何か」を起点に、編集記事と同じくらいのバリューがあるものにすることを本気で目指しているので。でも、結果的にブランドメッセージもシェアされるほうがいい。それを証明していきたいと思っています。

 今までの「いかに自社ドメインに人を連れてくるか」という発想も、転換する必要があるでしょうね。BuzzFeedでは、読者にソーシャル上で見てもらうことが重要であり、無理に自社サイトへ誘導することではない。また、BuzzFeedからの全ての広告やスポンサードコンテンツにおいては、読者を困惑させないようはっきりと「スポンサード」とわかるように表示をしています。

MZ:このネイティブ広告は、合弁会社ではなくヤフー内の水上さんのチームで扱われるのですか?

水上:その予定です。ただ、ヤフーとしては、クライアントへの提案の選択肢が増えたという位置づけです。企業の課題解決のためのマーケティングプランに、BuzzFeedのネイティブ広告が適していれば積極的に立案していきます。自然に広まるコンテンツ拡散という手法を、新たに取り入れたと考えていただければと思います。

2016年が「コンテンツマーケティング元年」と言われるように

MZ:冒頭で、ストレートニュースにも力を入れているというお話がありました。バイラルメディアとジャーナリズムの組み合わせは、少し意外な感もあります。

水上:そうかもしれませんね。BuzzFeedは、信頼される、楽しい、そしてシェアされるメディアであることを目指しています。また、ロサンゼルスにBuzzFeed Motion Picturesがあり、映像分野にも注力しています。

MZ:米国と日本では、バイラルするコンテンツの傾向も少し違うでしょうし、これからノウハウを蓄積されてヒットが生まれるのが楽しみですね。今後への展望と期待をお聞かせいただけますか?

水上:そうですね。今後は日本でもノウハウを蓄積し、展開していきます。代表取締役社長の上野正博(2016年4月就任)と古田大輔創刊編集長の下、スタッフも増強しており、非常に楽しみです。

 その中でヤフーとしては、ネイティブ広告市場の形成に注力していきます。「BuzzFeed Japan」を通してコンテンツ中心のマーケティング手法を確立し、「2016年がコンテンツマーケティング元年だった」と言われるようにしたいですね。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/05/31 13:08 https://markezine.jp/article/detail/23635