「クリエイティブなチーム」である必要性
ネット発でありながら、キャズムを超えて認知を広げた典型例として「電車男」は誰もが知るところだろう。はじめは2ちゃんねるからブログなどWeb中心で広がっていたものが、テレビのニュースに取り上げられ、本になり、映画になり、ドラマになり、ついには社会現象にまでなった。「電車男」はクロスメディア戦略を考える上で一つのモデルケースになったように思う。
新たな市場を作り出していきたい、新たな風潮を生み出していきたい、新しいライフスタイルを提唱したい――このような課題があるケースでは、電車男の辿ったような“メディアの道”を、それが伝播する時間を踏まえてインターネット、PR、既存の4マス、OOH(Out Of Home広告)そしてイベントを複合的かつ効果的に設計する必要がある。
ただし、これを実現するには仕掛ける側のチーム全員が“クリエイティブに”発想する態度を持つことが重要だろう。
メディアからメディアへと情報が広がっていくためには、そのクリエイティブが人から人への伝播力を持つ“本物”であることが絶対条件だが、「どのように伝える?」の部分のみならず、「誰に」「いつ」「どこで」の部分でも受け手側にインパクト=話題性を与えるようなオリジナリティが必要となるからだ。 ビルの壁や駅の階段そのものを媒体にしてしまった事例があるが、まさにその良い例と言っていいだろう。
クリエイティブとは通常、伝達過程の最後の落とし込みをする人、またはそのものと認識されているかもしれない。しかしこれからは、営業、マーケティング、メディア、そしてクリエイティブなど、プロジェクトチーム全員が職種を超えて“クリエイティブな視点”になる、そんな仕組みが今後さらに広告代理店に求められてくるに違いない。