翔泳社が3月1日（月）に刊行した『インバウンドビジネス入門講座 第2版 訪日外国人観光攻略ガイド』は、2015年2月に刊行した『訪日外国人観光ビジネス入門講座』の第2版です。
本書では、この1年で大きく変化し加速した日本のインバウンドビジネスを多角的に捉え、業界の動向を俯瞰的に解説。ビジネスチャンスが観光業だけでなくなってきたことから、あらゆる業種の事例を取り上げました。チャンスは、日本人が普通に利用するサービスにも波及し始めているのです。
著者の村山慶輔さんによれば、インバウンドビジネスの現場レベルでは「実際に儲けている企業が増えてきた」そうです。2011年に622万人だった訪日観光客が、2015年には1,973万人の3倍増、これからも増加することが見込まれています。さまざまな企業や自治体のインバウンドビジネスをサポートしてきた村山さんの実感がこもった言葉には説得力があります。
本書は、すでにインバウンドビジネスに取り組んでいる企業が、改めて業界全体の動向を把握したり、他社の事例を参考にしたりするために役立てることができます。もちろん、いまから始めようという方のためにも、何から始めればいいのか章を設けて詳しく説明しています。訪日観光客の出身国別特徴も網羅しているので、最初に想定すべき「ターゲット」で迷うことはないでしょう。最大の課題となる集客についても1章を割き、ガイドブックや自社サイト、SNS、TripAdvisorなどのクチコミサイト、有名ブロガー、インバウンド専門メディアなどを利用するアプローチ方法を解説しました。
これまで観光とは無縁だった土地やサービスも、外国人には目新しく、日本独自の価値を持ちうることがあります。最初から恩恵には与れないと諦めるのではなく、自社のビジネスを新しい視点で捉え直すきっかけにしてみてください。
目次
巻頭 インバウンドピックアップトピック
- ビジネスの現場で湧き上がる期待と課題
- シェアリングとブッキングがポイントに
- 中国人観光客による「爆買い」チャンスのゆくえは?
- 空の便で見えてくる今後の訪日旅行の傾向
- 新しい旅行スタイルで地域と産業に活力を
第1章 インバウンド（訪日外国人観光）ビジネスを知ろう
- インバウンド（訪日外国人観光）とは
- なぜ今インバウンドが注目を集めるのか
- 観光立国へ向けた政府の取り組み
- 宿泊施設におけるインバウンドの可能性
- 商業施設におけるインバウンドの可能性
- 飲食店におけるインバウンドの可能性
- 交通機関におけるインバウンドの可能性
- メーカーにおけるインバウンドの可能性
- 自治体におけるインバウンドの可能性
- 今後の展望〜3000万人を目指して
- コラム 新規事業としてのインバウンドの可能性
第2章 外国人観光客を理解しよう
- 外国人観光客はどこの国から来ているか
- 日本でどんな観光をするのか
- 外国人観光客の満足と期待
- 不満と解決すべき課題
- ［中国］団体客と個人客、それぞれに合ったPRを
- ［韓国］若者中心の個人客をいかに呼び込むか
- ［台湾］親日家が多く、中国語圏の流行発信地
- ［香港］世界ナンバーワンの訪日リピート率
- ［アメリカ］欧米諸国の特徴を端的にあらわす国
- ［タイ］急増する東南アジアを象徴
- コラム ビッグデータは活用がカギ
第3章 インバウンドビジネスの始め方
- インバウンドビジネス7つのステップ
- インバウンドを取り巻くプレーヤーたち
- コラム ビジネスにおいて「1」はリスク
第4章 外国人観光客を集客しよう
- 集客のためのアプローチ方法を考える
- 「旅行博」で集客する
- 「旅行会社・ツアーオペレーター」で集客する
- 「ファムトリップ」で集客する
- 「フリーペーパー」で集客する
- 「ガイドブック」で集客する
- 「自社ウェブサイト」で集客する
- 「ウェブメディア」で集客する
- 「MICE」で集客する
- 「店頭」で集客する
- 「帰国後のフォロー」で集客する
- コラム 観光立国へのカギは「人材」
第5章 受け入れの準備を進めよう
- 受け入れ体制整備で大切なこと
- 「語学」対策で受け入れる
- 「通信環境」整備で受け入れる
- 「ムスリムなど多様性」への対応で受け入れる
- 「さまざまな決済方法」対応で受け入れる
- 「免税」対応で受け入れる
- コラム 必要なのは「共創」の意識
第6章 インバウンドビジネスの取り組み事例
- ホテル【龍名館】 老舗ホテルで新卒スタッフが活躍
- ゲストハウス【富士箱根ゲストハウス】 「殿堂入り」が大切にするおもてなしの心
- 旅館【阿蘇内牧温泉蘇山郷】 長く滞在してもらうための泊食分離
- 百貨店【大丸松坂屋百貨店】 免税制度改正の追い風が止んでも
- ショッピングモール【イオン】 グローバル企業の価値を最大限に活用
- コンビニエンスストア【セブン-イレブン】 日本の便利は外国人観光客にも便利
- ディスカウントストア【ドン・キホーテ】 外国人観光客の2人に1人が訪れる店
- 商店街【黒門市場】 店舗ごとの取り組みが全体の取り組みに
- 居酒屋【コロワイドMD】 現場でのコミュニケーションから得たもの
- コンセプトレストラン【NINJA AKASAKA】 忍者だけに頼らない努力
- 現地旅行会社【O2アジアトラベルデザイン】 タイ富裕層向けのオーダーメイド訪日旅行
- ネット予約サイト【ブッキング・ドットコム】 世界展開のサービスを強みに
- ツアーオペレーター【フリープラス】 旅行手配を通じて日本ファンを増やす
- 旅行会社・観光バス会社【南薩観光】 鹿児島という地の利を活かして
- LCC（格安航空会社）【春秋航空】 価格競争力を高めるためにしていること
- 自治体【徳島県三好市】 徳島県の限界集落に世界から人が集まる
- 自治体【京都府京都市】 REP活用による徹底的なマーケティング
- 自治体【福岡県福岡市】 中国発クルーズ船の半分が寄港する博多港
- 広域連携【瀬戸内しまなみ海道】 地域の力で世界のサイクリング王国に
- 観光スポット【地獄谷野猿公苑】 スノーモンキーの自然を維持するために
- 観光スポット【ギア専用劇場】 誰もが楽しめる非言語パフォーマンス
- メーカー【貝印】 包丁をもっと深く理解してもらう料理教室
- 体験プログラム【SATOYAMA EXPERIENCE】 飛騨の「暮らし」に体験を拡大
- 体験プログラム【えびす屋】 観光人力車で大切なのはスキルより人間力
