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避けられない育成型への潮流 今求められる「獲得施策依存のマーケティング」からの脱却

SEMの飽和、マーケティングは育成型へシフト

 2015年のインターネット広告市場は、およそ1兆1,500億円と引き続き拡大傾向だが、いまだSEM重視の傾向は続いている(参考情報)。しかし足立氏は「SEMはすでに飽和状態」と語る。

 実際に、スマートフォンに限定すれば120%の成長を遂げているSEM市場も、デスクトップでは横ばい。足立氏は「競争が激化し、みんなでCPCを釣り上げている状況に陥り、費用対効果が合わなくなるところも出てきた」と指摘。その流れの影響もあって発生したのが、ネイティブアドとコンテンツマーケティングの流行。「潜在層」と呼ばれる、いわば「将来の顧客」の育成がマーケティングの重要なキーワードとなりつつある。

 ここで足立氏は、看護師専門の転職サイト等のメディア事業を展開する、レバレジーズとグーグルが共同で行った、バナーのインプレッションがユーザーに与える効果の事例を紹介。ユーザーを2グループに分け、前者に本来のバナー、後者にダミーバナーを見せると、その後の自然検索時のCVRにおいて前者に127%の優位性がある結果を引き合いに出し、潜在層向け施策の重要さを説いた(参考情報)。

PCからスマホへの地殻変動 コンタクトポイントの複数化

 日本国内において、モバイルによる検索数がデスクトップからのそれを上回ったとグーグルが発表したのは、昨年5月(参考情報)。同様の国はまだ10カ国ではあるものの、時代の潮流としての「モバイルファースト」は不可逆なものだというのが一般的な認識だ。

 「今は接点がたくさんある時代。これまでと同様の刈取り型メディアプランニングではユーザーに“出会う”ことすらできない」と足立氏は語る。ブラウザを立ち上げることでしかインターネットに触れる機会がなかった従来のデスクトップ文化を振り返ると、ユーザーの起点はほぼ「検索」か「(ヤフーなどの)ポータルトップページ」であった。

 しかしモバイル時代ではそれに加え、フェイスブックやツイッターなどのソーシャル・アプリ、LINEなどのコミュニケーションツール、それにニュースアプリなど、インターネットへの入り口は多様化している。それにより、捕捉すべきデータも多様化し始めているのが現在の状況だ。

「ペイドメディア」から「3メディア」が絡みあうフェーズへ

 チャネルの多様化、複雑化に関連してもう1つ、今後のメディアの潮流について「ペイドメディアから、POE(Paid、Owned、Social)の3メディアへの流れ」と語った足立氏。

 モバイル時代の本格化に伴い、コンタクトポイントやその流れが膨大になる今後は、潜在層の獲得はもちろん、ロイヤル顧客の確保のためにも、顧客とのコミュニケーションはより重要さを増す。「今までもユーザーとコミュニケーションする必要が説かれていたが、今後はよりユーザーといかに深い関係を作っていくかが、重要になる」(足立氏)。

 また、特に日本の人口減少を指摘し、「これからの国内市場で売上を確保するためには、1人あたりLTV(顧客生涯価値)を高めるのを主眼に置くべき。そのため、ユーザーと長期的なコミュニケーションを行うことは不可欠」とし、その点からも育成型マーケティングが今後の主流になると語った。

 そして、そのような流れに乗るためには、「オーディエンス軸での評価」への変化は必須である。「ユーザー単位でデータが管理できなければ、そもそも育成などできない」(足立氏)。

次のページ
「施策単位」から「オーディエンス単位」の評価へ 具体的な実践方法とは

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この記事の著者

渡邊 徹則(ワタナベ テツノリ)

株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。 執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。 会社概要 - seven@ver7.jp - Twitter/Facebook @brigate7

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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