動画広告の掲載フォーマットの種類

インストリーム
YouTubeなどの動画プラットフォームや、ニュースメディア等に掲載されている動画コンテンツに対し、テレビCMのように動画広告が差し込まれる形式を指す。 概念上、プレロール(動画再生前)、ミッドロール(動画再生途中)、ポストロール(動画再生後)があるが、現状プレロールのみが普及している。
インバナー
各種メディアやWebサイトに存在する、バナー広告が表示される枠に対し、バナー画像の代わりに動画広告を入稿して表示する形式。無数に存在するバナー表示用の枠が流用できるため、動画広告を表示しうる在庫の量が莫大に増やせる所が利点。一方で、バナー広告枠はWeb利用者が見慣れすぎていることから、注目されにくいとも言われる。
インフィード
Webにおける「フィード(供給・食事・えさ)」とは、Webサイトが更新情報やページの一覧や概要などをまとめたデータの事を意味する。動画広告のフォーマットとしてのインフィードとは、FacebookのニュースフィードやTwitterのタイムライン、メディアの記事一覧等の情報更新欄に、動画広告が更新情報の一部のように差し込まれる形式 を指す。
利用者にとっては、他のコンテンツと馴染んで表示されるので、広告感を感じさせにくく、またスクロールすれば簡単に視聴をスキップ出来るため、邪魔になりにくい。一方広告主にとっては、スクロールされるまでの一瞬の間に、視聴者を惹き付ける等の工夫が求められてくる。
インリード
動画広告の中でも、新しく登場したフォーマット。メディアの記事文章を呼んでいる途中(In Read)で、動画が出現する形式を取る。 ある程度まで読み進むと、動画がするっと出現するという表示のされ方が多い 。記事の内容と関連性が高い動画広告であれば、他のフォーマットよりも視聴されやすい、とも言われる 。
動画広告の主なバイイング手段
YouTube TrueView
YouTubeにおける動画広告の配信枠。 YouTubeにアップロードされた動画の前に差し込まれるプレロール動画広告のフォーマットが主流で、音声あり、自動再生の形式で差し込まれ、かつ5秒以上視聴したらスキップ出来る仕様が多い 。30秒未満の動画広告は動画再生終了時点、30秒以上の動画広告は30秒経過時点で再生とカウントされ、課金される。
加えて、クリッカブルエリアのクリックが発生した場合にも課金が発生する。他の広告媒体に比べて課金の判断基準が厳しく、視聴者が広告を自発的に見る姿勢を見せた際に課金する設計のため、広告に興味のない人への出稿に対する費用が発生しにくい所が特徴の一つ。世界最大の動画配信プラットフォームであるため、潤沢な表示在庫を誇る。バイイング手段としては、メニュー化された専用枠の購入、Google Adwords経由での運用型広告、他社に開放されたExchange在庫をアドネットワークやDSP経由で購入する方法などがある。
Facebook広告
主にFacebookのニュースフィードに、友人の投稿等の更新情報と並んで動画広告が表示される配信枠 。利用者がニュースフィードをスクロールして動画広告が可視領域に入ると、動画が無音で自動再生される。従って、無音のまま視聴される事も多い。3秒経過時点で再生とカウントされ、課金される。
Facebook自体がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であり、多くのユーザーが正確な個人情報を設定しているため、他の配信手段に比べてターゲティングの精度が高い傾向にある。また、Facebookが日常的にモバイルで閲覧されているため、動画の視聴もモバイルが多い傾向にある。主なバイイング手段としては、メニュー化された専用枠の購入、Facebook広告マネージャ経由での運用型広告がある。
Twitter広告
Twitterのタイムラインに、友人の投稿等の更新情報と並んで動画広告が表示される配信枠 。利用者がタイムラインをスクロールして動画広告が可視領域に入ると、動画が無音で自動再生される。
従って、無音のまま視聴される事も多い。3秒経過時点で再生とカウントされ、課金される 。Twitterは、テレビ番組やイベントに連動したターゲティングや、特定の人物のフォロワーに似たユーザーのターゲティングなど、個性的なターゲティングメニューを持っている。
また、Twitterは多くがモバイルで閲覧されているため、動画の視聴もモバイルが多い傾向にある。主なバイイング手段としては、メニュー化された専用枠の購入、Twitter広告(セルフサービス)の管理画面経由での運用型広告がある。
GYAO!広告(Yahoo! JAPAN インストリーム広告)
Yahoo! JAPANが運営する、音楽、ドラマ、映画等の見応えあるオフィシャル映像を配信する動画サービスGYAO!における動画広告。プレロールやミッドロールの形式で動画広告が挿入され、動画広告の視聴スキップが出来ない所が特徴。
一方で、入稿動画に対して15秒~30秒の時間尺制限がある。掲載コンテンツに長尺のオフィシャル映像が多い事も踏まえると、Web上でテレビ番組とテレビCMの関係に近い広告を可能にする手段とも言える。Yahoo!JAPANの持つ豊富なデータに基づいた各種ターゲティングも可能。バイイング手段としては、メニュー化された専用枠の購入が基本となる。
ネイティブ広告
バイラルメディアなど、動画を取り上げて紹介するメディアの中で、動画広告を紹介してもらう手法。記事の中に、YouTubeやFacebookに掲載した動画広告を埋め込んだ上で、動画の内容を記事として紹介する形が多い。強制的に動画広告を見せるのではなく、 タイトルなどで惹きつけることで、自発的に視聴してもらう事ができる。また、メディアへの露出シェアが連鎖して拡散のきっかけとなるケースもある。有力な媒体に、Grape、Spotlight、Yahoo!映像トピックス、CuRAZYなどがある。
アドネットワーク/DSP
アドネットワークとは、様々なメディアや、動画配信プラットフォーム(ニコ動、Dailymotion)等の広告出稿枠を束ねたもの。DSP(Demand Side Platform)とは、広告出稿枠を売買する取引市場であるアドエクスチェンジや、メディア側の枠販売システムであるSSP(Supply Side Platform)から購入できる広告出稿枠に対し、リアルタイムビッディング(RTB)と呼ばれる動的な取引手法で、入札、配信を行う仕組み。
アドネットワーク/DSPを用いる一番のメリットは、YouTubeやFacebook以外のメディア・動画配信プラットフォームに動画広告を出稿できる点にある。YouTubeがWeb上の全動画再生に占めるシェアは1/4程度と言われており、他のメディアにも多くのインプレッション(露出)の機会が存在しているため、これを活用するにはアドネットワーク/DSPを用いる必要が出てくる。また、YouTubeはアドエクスチェンジを通じて在庫を一部開放しているため、DSP経由でYouTubeを含めたバイイングも可能。
アドネットワークは傘下のメディアに特徴をもたせることで差別化を図っており、女性向けメディアに強いOPEN8、短尺動画専用のFIVEといった様々な個性を持った動画広告ネットワークが存在している。
DSPの場合、DMP(Data Management Platform)と組み合わせて利用することで、自社の顧客データや第三者の有するクッキーデータなどを元にした精緻なターゲティングを行うことも出来る。