動画マーケティングにおける位置づけ
「動画」という表現手段には様々な用途、作り方があるが、動画コミュニケーションの「Viibar(ビーバー)」では、マーケティングの視点から動画のパターンを大きく5つに分類している。
上図は、動画マーケティングにおける動画活用のパターンを整理したフレームワーク『SHHIP』である。視聴者がSNS上で友達に紹介したくなるほど心を動かすStar動画、検索した疑問に対する答えを提供するHelp動画、続きを見るために何度も訪問したくなるHabit動画、他人のコンテンツに差し込んでメッセージを伝えるInsert動画、購入を迷っている人の背中を押すPersuasion(パースエイジョン)動画の5つから構成される。そして、それぞれのパターンごとに、動画のターゲットも違えば、内容も、作るべき本数も変わってくる。ここではSHHIPの詳細は割愛するので、詳しく知りたい方はこちらの記事を参照いただきたい。
動画広告は、他のメディアのコンテンツに差し込む形式をとるため、このうちのInsert動画に該当する。
他の広告手段と比べた特徴
動画広告は、リスティング広告やバナー広告といったインターネット広告の一種でありつつ、テレビCMと同じ「映像」を使った表現方法でもある、新しいカテゴリの広告手段である。活用にあたっては、動画広告が既存のインターネット広告やテレビCMと比べて、何がどう違っているのか、よく理解しておく必要がある。
まず、リスティング広告やバナー広告と動画広告を比べた際の一番の違いは、情報量の多さである。下図のように、リスティング広告やバナー広告は、クリエイティブを構成する要素がテキストや写真などに限られているため、要素の掛け算で生み出せる表現の幅にはある程度の限界がある。
一方動画広告の場合は、BGM、セリフ、演技、時間構成など、クリエイティブを構成する要素が劇的に増えており、クリエイティブに無数のバリエーションが考えられるようになった。従ってリスティング広告やバナー広告と比べ、動画広告はクリエイティブの内容次第で効果も大きく変動してしまう、すなわちよりクリエイティブの重要性が高くなっている、と言える。
もう一方の、テレビCMと動画広告を比較した場合の違いは、大きく2つ。1つは、動画広告を視聴するデバイス(PCやスマホ等)は「Lean Forward(前のめり)」に利用するものだということ。テレビの場合、ソファや畳の上でくつろいだ姿勢で、ぼーっとしながら情報を一方的に受け取る形で視聴する傾向があるが、PCやスマホでは、生活者は画面を注視して、常に必要な情報と不要な情報を振り分けながら利用している。
もう1つは、動画広告の多くは「Skippable(スキップ可能)」であるということ。テレビCMでは、映像の途中にCMが差し込まれるため、コンテンツの続きを見るには原則CMを視聴する必要がある。一方、動画広告の場合は、大抵「スキップボタン」が付いていたり、スクロールで飛ばして無視する、といった事が可能になっている。
これらから、動画広告はテレビCMに比べて、自分に関係が無い、興味を惹かれない、と思われてしまうと、広告に見向きもしてもらえない、ということになる。翻って言えば、「自発的に見たくなるクリエイティブ」を用意しなければ、生活者に何の印象も残せないかもしれない、とも言える。