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マーケティング4.0を実践する、かものはしプロジェクトに学ぶ!マーケティングオートメーション活用術


メール開封率が平均約70%まで向上!直接CVの獲得も

――このトリガーキャンペーンによって、会員獲得数はどのくらい伸びたのですか?

小畠:今年の2月くらいから施策を始めたのですが、1か月の新規会員のうち、すでに10分の1がMarketo経由で会員になっています。これは驚異的な数字です。

――なるほど。会員になってくれた方の実績数からすると、ツール導入にかかった費用対効果はいいということでしょうか。

小畠:そうですね。すでに1年分のツール使用料はペイしています。また、先ほど月の新規会員の10分の1がマルケト経由だと言いましたが、これがダイレクトCVの数字です。マルケトを活用した施策で、イベントに参加してくれたり、資料請求をした方など、間接的なCVに貢献した人数は3桁近くいます。これらの方々をナーチャリングしていくことで、ゆくゆくは会員になってくれる可能性は大きいでしょう。

――One to Oneマーケティングが大事なことは、だれもがすでに認識していることですが、実直に施策を行うことで効果がはっきりと表れるのですね。

小畠:そうですね。これまではOne to Oneマーケティングが大事なことはわかっていましたが、月に1回、会員と非会員に分けて、なんとなくメルマガを送っていたこともあり、正直なところ、あまり読まれませんでした。でも、ターゲットをセグメントをきちんと分けてメッセージを出しわけることで、開封率は最大89%、常時70%前後まで大きく改善しました。人力で行っていた作業ボリュームも3分の1に削減でき、人的ミスも発生を防げると同時に、メルマガを起点に寄付まで結び付けることも可能になりました。以前は寄付のお願いのメールを送って、怒られたこともあったのですが、マルケトを活用することで適切なターゲットに適切な情報を提供できているので、安心感を持って施策を実行できるようになりました。メール配信停止のオプトアウトも減りましたし、あらためてOne to Oneマーケティングの重要性を実感しています。

――実際に組織のなかで施策をまわしていく上で、課題になっていることはありますか?

小畠:効果は実感しているものの、一方で課題も実はあります。施策をまわしていく上で、メンテナンスの課題は大きいですね。基本的なフレームはできているのですが、使いながらチューニングしていくのはなかなか難しい。

稲垣:マーケティングオートメーションツールは、ずっと設定を固定しておくものではなく、状況によって変えてPDCAを回し続けていくものです。運用する人材の課題は、企業もNPOも同じですね。

 マルケトとしては、ユーザー・パートナー・インターンなどがNPO向けにマルケト活用支援をするプロボノNPO「Make IT Better」との協業や、3月に発足したNPOユーザー会分科会「NKTO」等の場の提供などを通じて、その課題に取り組み、さらに活用を進めるお手伝いができればと考えています。

――導入してから、組織の中で使いこなすまでが重要なので、運用できる人材の育成・確保は、企業とNPO、双方に通じる課題なのですね。今後の展望についてお聞かせください。

稲垣:日本のNPOセクターは、今後ますます市場規模が拡大し、社会的により重要な役割を担うようになっていきます。弊社は外資系企業ですが、日本のいち企業市民として、また一社でできることは限られますので志を同じくする事業者の皆さんと連携しながら、日本のNPOセクターに貢献していくことができればと考えています。

小畠:最近では、NPOが受けれるITサービスのクオリティーもかなり上がってきましたよね。一方、かものはしも含めNPOは先行投資や費用の問題もあり、マンパワーで乗り越えている部分がけっこうあるというか。

稲垣:費用だけではなく、IT人材の問題も大きいでしょうね。ただ、どこのNPOも寄付獲得やスタッフの作業負担の削減など、ITを活用する余地はかなりあります。

小畠:私たちの組織には、もともとIT事業部があって、10年前からすでにITを使ってカンボジア現地を支援する活動を行ってきました。なのでITの可能性を団体として学習しているのが、功を奏しているのかもしれません。

 また、「新しいことに挑戦することはよいことだ」という組織文化が根付いているので、Marketoをはじめ、新しいツールの導入・活用にも積極的です。同時に投資対効果は厳しく判断してきたからこそ、ITは私たちの活動を助けてくれる感覚が強いですね。

――今日は貴重なお話しをありがとうございました。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2016/05/23 17:46 https://markezine.jp/article/detail/24333

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