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イベントレポート

スマホシフトは完了した/スマホネイティブ世代を惹きつける動画マーケティング最前線

スマホネイティブ世代の心を捉える動画コンテンツの作り方

菅野:ところでMixChannelはユーザーが動画コンテンツを作り、一方でC ChannelはクリッパーやC Channel自身が動画を作っていますよね。昨今、動画のプロモーションを企画する機会が増え、スマホネイティブ世代の心を捉える動画コンテンツの作り方の秘訣を知りたいと思っているマーケターの方も多いかと思います。どんな傾向があるのか、お二人からお聞かせいただけますか。

森川:当初は、F1~F2層に向けたグルメレポートや旅行レポート的な動画を作っていました。でも、そういうものはなぜかみんな見なくなったんですよね。で、なぜかをインタビューしたところ、今の時代は自慢をする人がすごく嫌われるんです。嫉妬の対象というか、男性から見たら面白くても、女性からすると許せなかったり。だから、なるべく個人だけが楽しそうなものよりは、動画を見て楽しめて、その結果役に立つようなものじゃないといけないということが一つわかりました。

菅野:先ほどの料理やネイルの動画も、人の顔は写ってないですね。ノウハウに特化しているイメージでしょうか。

森川:そうです。例えばきれいな人のメイク動画だと、「あなただからきれいに見えるんじゃないの」とか、そういったことも嫉妬も対象になるところがある。あまりきれいすぎてもだめなのです。

菅野:ユーザーはあまり気持よくないのですね。

森川:そう、そうなんですよ。ソーシャルメディアでシェアされて、コメントされることを重視しているので、ユーザーにいかに共感してもらうかを考えています。

菅野:MixChannelではどうでしょうか?

福山:MixChannelは10代女性のコミュニティサイトなので、親しみやすさがエンゲージメントに大きく影響してきます。MixChannelの中で人気があるユーザーは、プロっぽい人よりも、どちらかというと身近にいそうなクラスのかわいい子みたいな感じの方が多いですね。

 そして自分もまねできそうな動画がユーザーに人気ですね。先ほどお話ししたダンス動画は、まさにいい例です。かわいいので自分でやってみたい、まねをして流行っていくという流れです。そういった意味では、まねされやすい動画コンテンツか否かが、結構重要なのかなと思います。なぜならば、今はみんながカメラを持ってるし、誰もが動画を作れる手段を持ってるから。

森川:やっぱりコミュニケーションだと思うんですよね。映像のプロにとっての高いクオリティの定義は、画質がいいとか、絵柄がきれいとか、そういうイメージなんですよ。それをある意味、突き放すようなやり方が求められている。あと、スマホネイティブ世代はあまり目立ちすぎるとたたかれるので、「そこそこよくて、そこそこ共感できる」みたいな路線が重要なのかなと。

ファイブ株式会社 代表取締役CEO 菅野 圭介氏

菅野:では少し視点を変えて、企業の成功事例や成功パターンについて伺っていければと思います。

森川:今までの動画CMはテレビCMが中心でしたが、テレビCMの世界は基本的にユーザーは見たくない。見たくないけど、見せられていたのが、今までのテレビCMの時代だったと思います。でもこれからは、見たいものじゃないと誰も見なくなってしまう。我々も動画CMを制作してみたのですが、作り手側の思いが強すぎると、なかなかユーザーは見てくれない。これからはユーザーが見たいCMを作らないといけないと、強く感じています。その結果として、How to系の動画ネイティブアドの人気が出ているのだと思います。

 動画を見る前と見た後で、その商品を使うとどんないいことがあるのかがわかりやすいと、じゃあ自分も試してみようと行動につながる。料理系、メイク系、ネイル系の動画にも同じことが言えます。「こんなに変わるんだったら、自分やってみたい」という気持ちは、おそらく購買行動に繋がるでしょう。また今後は、テレビCMのクリエイティブチェックなどをC Channelでメニュー化してやっていきたいと思ってます。本番のテレビCMのプレマーケティングをC Channelで行うイメージです。

菅野:ちなみにその広告コンテンツや映像コンテンツは、C Channelが制作するのですか?

森川:そうですね。過去に代理店さんに制作していただいたこともあったのですが、クリエイターの方が映像の質にこだわりすぎて、なかなかネットでウケるものになりにくかったんですよね。なので、今は我々がなるべく制作するようにしてます。

菅野:そのあたりの議論は、難しい部分でもありますよね。マーケティングの全体像を見るか、デバイスやメディアの特色に合わせて最適化していくか。

森川:動画メディアは、まだブランディング時代でしょう。今後は、認知・理解を深める領域まで、その次に実際の行動・購買に移る領域まで浸透していくと思います。その領域は、非常にHow toと相性がいい。

福山:MixChannelのようなユーザー投稿型コミュニティの場合は、ユーザーにクリエイティブを作ってもらうという技があります。例えば資生堂さんのシーブリーズの事例では、MixChannelの人気ユーザーが動画を作っています。シーブリーズを紹介するというよりは、シーブリーズをテーマとしたダンスを作ったりですね。それを動画広告枠で流しました。人気ユーザーが作ったコンテンツのような広告ということもあり、視聴完了率は他の案件の2倍程度に。見てもらえる広告の成功事例の一つだと思います。

 もう一点、MixChannelでしかできないような広告的な取り組みとして、ロッテのFit'sの事例があります。今年の2月に、パパイヤ鈴木さんが振りつけたダンスのコンテストをMixChannelの中でやりました。具体的な数は公表できないのですが、2週間のキャンペーン期間中に数千に上る投稿動画が集まりました。楽しいものであれば、ユーザーも楽しんでくれるます。その動画にはFit'sのロゴなどを使ったり、ユーザーは面白がって、自分たちでCMを作っているような楽しみ方をしています。

菅野:事前にかなりの準備が必要そうですね。

福山:はい。やはり企画が大事ですし、ユーザーに楽しんでもらうことが成功の秘訣だと思います。いかにユーザーが巻き込めるか企画がどうかが大事です。

菅野:逆に失敗したケースの特徴などはありますか。

森川:いろいろなケースがありますが、やっぱり会社の自慢とかはウケないんですね。この商品はこんなにすばらしいとか、わが社はこんなに立派な製品を持ってますとか。動画CMに限らず、すべてにおいて目線をお客さん向けにできるのかどうかが大事ですね。

福山:動画広告枠だと、テレビCMでも見たことがあるものはスルーされますよね。逆にコンテストでは、明らかに敷居が高いもの、めんどくさい企画はユーザーはのってこないですね。

菅野:一方で企業側の担当の方が、実際にC ChannelやMixChannelのターゲットユーザーではないので、リアルなユーザーの気持ちを理解する難しさもあるでしょうね。では最後に、今後の動画サービスやマーケティングの行方や展望について一言ずついただけますか。

森川:インターネットの事象を考えると、必ず最後には動画で表現する時代が来ます。なので、間違いなく動画の時代はさらに進むと思います。マーケティングに関しても、テレビとネットを組み合わせていくものになります。その時にいかにユーザー目線で動画を作れるか。その未来へ向けて、C Channelは取り組んでいきたいと思ってます。

福山:これまではインターネットで人気になった人がテレビに出ていく流れがありました。インターネットで生まれて、テレビで消費される時代でした。でもこれからは、モバイルで生まれてモバイルで消費される時代になっていくと思います。C Channelをはじめ、LINE LIVE、AbemaTVなど、モバイルの中にとても大きな出口が出てきています。MixChannelとしては人気者がどんどん生まれていくるコミュニティにしていきたい。そのうえで、MixChannelで生まれた人気者が、モバイルインターネットの中でさらに活躍していく時代を作っていければと考えています。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24537

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