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UI/UX改善“実践”レポート

「UI/UX改善に効くワークショップ」を行う方法とは? ファシリテーター視点で整理しました

ワークを建設的に進めるコツは「拡散と収束」

 「誰に・何を・どのように」を具体化して議論を進めることで、デジタルプロダクトの品質を高めるキッカケを見つけられ、かつ、ユーザー視点に立ち戻って理解できます。短い時間でこうした議論を進めるためには、ワークショップ参加者が「今何をすべきか」を意識して取り組むことが大切です。

 多くの場合、人が集まればその場でディスカッションがはじまります。すると、意見交換や主張が中心となり、議論の範囲も広くなりがちです。結果として参加者全員が拡散傾向になり、時間内で終わることも難しくなります。そうならないために、ワークショップではアイデアを求める時間とまとめる時間といった、「拡散と収束」を意識したプロセスを形成する必要があります。

拡散と収束のプロセス
拡散と収束のプロセス

 今回の場合は、たとえば、rakumoにはどのようなユーザーがいるかを出し合うワーク(拡散機会)とセットで、ユーザーを軸に分けてユーザーセグメントを決めるワーク(収束機会)を行いました。ほかにも、ユーザー行動を一から見直し流れを書き出すワーク(拡散機会)とセットで、ユーザー行動から課題を見つけるワーク(収束機会)も行っています。このように考えを広げてはまとめる行為を繰り返し、大勢の意見を一つにしながら次の工程につなげていきます。

 拡散はブレインストーミングやディスカッションなど「質より量」が求められるのに対し、収束は施策やアイデアを分類・統合することが求められます。それぞれで必要なスキルも変わってくるのがポイントです。

キーワードは「目的の可視化」と「役割の明確さ」

 こうしたワークはどのように実践していくべきでしょうか。「目的の可視化」や「役割の明確さ」がキーワードです。特に、参加者の人数が多ければ多いほど「何のためにしているのか」をお互いが意識して取り組む必要があります。

ワーク実践のキーワード
ワーク実践のキーワード

 今回の目的は、十分に議論できていなかったデジタルプロダクトのコンセプト作成にあり、それによる関係者全員の意識を変えていくところにありました。したがって、新しいアプローチ(UXデザイン)により、これまでにない視座を獲得し、そこから導き出される施策や案を吟味できる状態を目指しました。

 rakumoは「誰に」向けて「どのように」提供するものなのかを関係者間で明確にすることで、施策の効果も測定しやすくなります。目的と優先順位がつけやすくなるということは、それだけ開発も運用もシンプルになっていきます。

 ワークショップは、エンジニアから営業、サポートの人間も加わっていろいろな意見が生まれやすくなります。日常の業務では上流から下流といった関係性がありますが、ワークショップはフラットな関係性で参加してもらいます。今回も、はじめは受け身の印象もありましたが、グループに分かれてディスカッションをしてもらったことで、自然なコミュニケーションができるようになっていました。

 また、グループ別にリーダーを選定し、発表・講評をしてもらうのもポイントでしょう。各ワークに議論と成果が伴い、さらに、人に伝えるためのプレゼンテーションができる=アイデアを客観視できるようにすることが狙いです。

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目的別ワークショップの特徴

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この記事の著者

坂本 貴史(サカモト タカシ)

 ネットイヤーグループ株式会社のUXデザイナー。国内外の大手企業におけるデジタルマーケティング支援として、Web情報アーキテクチャやUXデザインを担当。著書に『IAシンキング』『IA/UXプラクティス』がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24597

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