電通デジタルが兼ね備えるスキルとは
総合広告代理店の電通はデジタルマーケティング専門の新会社「株式会社電通デジタル」を設立。本社内組織である「デジタルマーケティングセンター」に、グループ会社の「電通イーマーケティングワン」と「ネクステッジ電通」からのメンバーが合流し、約700名の体制で7月1日から営業を開始。7月8日に広告主や協業社を招待し、発足発表会を開催した。
発表会の冒頭で、電通の代表取締役社長執行役員の石井直氏は「弊社はこれまでも、お客様のビジネスの成果、マーケティング活動の成果にコミットしてきました。デジタルマーケティングにおいてもこれまでのマーケティングと根幹は変わりません。電通デジタルはデジタライゼーション、インテリジェンス、クリエイティビティに関する知識・スキルを兼ね備えた組織として、お客様のマーケティングのデジタル化をこれまでの根幹を押さえつつ推進していけると思っています」と述べ、電通デジタルへの期待感を示した。
マーケティングはもっと進化できた?
続いて、電通デジタルの代表取締役社長COOの丸岡吉人氏が「マーケティングはもっと進化できる」と題したプレゼンテーションを行った。
同氏は最初に、これまでのマーケティングを歴史とともに振り返った。50年ほど前、黒電話などのコード付きの電話だったものがスマートフォンになり、電車も在来線から新幹線へとテクノロジーが進化していった。広告も、テレビの普及をきっかけにマスマーケティングが行われるようになり、様々な進化を遂げてきた。
しかし、丸岡氏は1つの問いを投げかける。それは「半世紀の間で黒電話がスマートフォン、もしくは在来線が新幹線になったレベルの進化がマーケティングで起きたのか」と。そして同氏はこれに対しそこまでの進化はなかったと斬る。
確かに、テクノロジーは進化し、データも日々増加している。考え方においてもブランド価値やLTVの考え方が出てきたのはもちろん、マーケティングをROIという視点で見てきた。でも、「もっとできることがあったのではないか」と丸岡氏は語る。
そして、それは丸岡氏が電通デジタル発足に当たり、広告主のCMOなどをはじめとした業界の有識者にヒアリングをした中で上がってきた声からも実感したという。以下がその声の一部だ。
・顧客体験を刷新するアイデアはあったが、システム開発と連動できなかった
・マーケティングシステムを導入したが、上手く使えていない
・顧客獲得を最適化したが、獲得後のCRMまでに投資ができず、成長が鈍化した
・個々のマーケティング活動は進化しているが、全体の最適化はできているのか
これらのことから、「マーケティングの水準は上がっている、ただそれが在来線から新幹線に進化したレベルとはいえない」と丸岡氏は語った。