メールに必要なのはターゲティングとモーメント
ここからは、メール施策を行う際に抑えておきたいポイントを解説します。基本的にメールの施策を行う場合、「ターゲティング施策」と「モーメント施策」に分けることができます。最近では、マーケティングオートメーションツールなどの登場により、それぞれ細かく設定できる様になりました。

ターゲティングとは、企業軸で伝えたい情報をターゲットとなる顧客に届けるための施策です。これは全配信でも、「女性のみ、35歳未満、誕生月のみ」などの情報でセグメントしても構いません。また、ターゲティングは情報を伝える事を目的とするので、ある程度の退会率は仕方ないでしょう。退会率を気にして、届けるべき情報を送らないのは本末転倒です。
一方モーメントは、ユーザー軸で今欲しいであろう情報をユーザーのタイミングで送る施策です。ステップメールやトリガーメールはモーメントの施策の一部です。開封率は全配信で届けるのに比べ、3倍から5倍まで向上させることが可能です。
これらの施策を活用し、「開封率」と「クリック率」を上げるためにPDCAを回していくのは、PCでもモバイルでも同様です。
ユーザーに新しい情報が届いているか
では、モバイル時代の良いメール施策とは何かを考えるために、モバイルとPCのメールでは何が違うのか考えてみましょう。先ほども触れましたが、モバイルとPCの大きな違いはメーラーを開く回数です。PCでメールを開封するのは、(職場のPCを使わなければ)朝、晩がほとんどでしたが、スマホは電車の中や食事中など至る所で見ています。次回以降でお話しする、SNSのタイムラインを見ている事がスマホでは一番多いと思いますが、メールのチェックをする人も少なくないでしょう。
さて、今度はスマホでメーラーを開いた時の行動を考えてみましょう。ほとんどの方が新しいメールから見るのではないでしょうか。
新しいメールから見るという前提を踏まえ、1つ事例を紹介したいと思います。下記グラフはEC企業でA/Bテストを行った際の結果です。Aの通常配信は一律で通勤時間帯に送ったもので、Bの時間帯別配信とは、前回開封やアクションした時間帯に配信したものです。

結果はもちろんいつもメールを見る時間に合わせたBの方が良く、開封率は144%、開封者のクリック率は118%の伸長、そして配信総数に対するクリック率は170%まで伸びました。つまり、重要なのはユーザーの行動を読み、最新の情報となるタイミングでメール配信を行うことだということです。