“認知”発想でなく、“認識”発想へ
では一体どうすればよいのでしょうか?
まず、「認知(アウェアネス)」つまり「”メーカーの言いたいこと”のみを伝える」だけでは「モノ(=自社の商品)は売れない」時代になった、という認識に立つことです。
そのうえで「メーカーの言いたいこと」の認知拡大ではなく、「消費者が商品に対して持っている認識(パーセプション)」をチェンジさせることが、この時代のマーケティングの要点です。「パーセプションをチェンジする」ためには、今の消費者の考え方に立脚し、「モノが欲しくない」という発想が前提の彼らの中にある「インサイト」、つまり「そこを突かれる・刺激されると、買いたくなるか」というポイントを、いかに丹念に探しだせるのかが決め手です。
ただしこれはなかなか難しいことで、私自身も正直なところ、日々悪戦苦闘しています。かのスティーブジョブス氏も「人は欲しいものを形にしてもらうまでは気づかない」と述べている通り、従来のアンケート調査・インタビュー調査では、現状の問題点(例:自社ブランドへの認知度が低い/イメージが希薄)などは見つかっても、自社商品を生活者が欲しくさせるツボであるインサイトはなかなか見つかりません。
ですから今求められるのは、何かを調べることではなく、自分の日々の取り組みの中で少しでもうまくいったケースを抽出して「売れない時代に人を動かす、新たなセオリー仮説」を見つけ出すことです。さらに、それを実戦で当てはめ、PDCAを回し、自社なりの成功の方程式へと高めていくことでしょう。
そこで、次回からは、日本のマーケターが陥りがちな「マーケティングセオリーの罠」として、次の4つを紹介します。

その上で、このワナにはまらないために、私が日々の業務を通じて得た新セオリーと、各セオリーに合致する成功事例をご紹介したいと思います。次回は「“競合商品より優れていれば売れる”というセオリーからの脱却」です。ぜひご覧いただければと思います。