SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

マーケターのためのAI基礎講座

囲碁AI「AlphaGo」は何がすごいの? 深層学習×強化学習が人工知能に与えたインパクト

 マーケター向けに人工知能(AI)の活用について解説する本連載。第5回はGoogleの囲碁AIとして大きく話題になったAlphaGo(アルファ碁)およびAlphaGoで用いられている深層強化学習について取り上げ、マーケティング分野への応用について考える。

AIがカンヌライオンズでグランプリ? 技術革新がもたらす進化とは

 Google傘下のDeepmind社が開発した囲碁のAI、「AlphaGo」(アルファ碁)をご存じの方も多いだろう。2016年3月に「囲碁界の魔王」あるいは「歴代最強の棋士」とも評されるイ・セドル九段と五番勝負を戦い、AlphaGoが4勝1敗で圧勝したことは大きなニュースとして取り上げられた。

画像は対戦動画https://youtu.be/G5gJ-pVo1gsより
画像は対戦動画より

 そのAlphaGoが、世界最大級の広告賞であるカンヌライオンズ2016のイノベーション部門でグランプリを受賞した。なぜ「囲碁のAI」が「広告の賞」でグランプリを獲得したのか?

 イノベーション部門の審査員を務めた博報堂の三神正樹氏は、「彼らの『Intuition(直感)への挑戦』という大きな飛躍への挑戦を評価し、共感した」、「まさにこれからのコミュニケーションのあり方を大きく変革する可能性を示した」と評している(参照)。

 Googleが囲碁AIを開発、というと遊んでいるように思えるかもしれないが、その評価は表層的すぎる。囲碁とは定められたルールと選択肢の中で、現在の状況(盤面)や対戦相手の打ち手を認識・評価しながら、戦略をアップデートして自分の打ち手を決定していくという、ある種のインタラクティブなコミュニケーションだ。

 さて、インタラクティブといってもパターンが少なければ対応は容易だ。では、囲碁ではどのくらいのパターンへの対応が求められるのか。

 囲碁は打ち手のパターンが10の360乗通り、あるいは400乗通り存在するといわれている。宇宙に存在する原子の数が10の79乗~81乗と推定されているので、この数字の大きさがどれほどのものか想像もつかないと思う。ちなみにGoogleの社名の由来はGoogol=10の100乗の誤植、という噂があり、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というGoogleのビジョンと合っていると思うが、その10の100乗をも超える数字だ。

 これほど大きい数字になると、コンピュータで全パターンを記憶しておいて、ルールベースで(=静的に)打ち手を決める、というやり方では難しい。そのため、囲碁AIを成立させるには上述したような認識・評価・打ち手の決定といったプロセスをアドホックに(=動的に)判断してゲームを進めていくアプローチとならざるを得ない。このアプローチでAIがプロ棋士に匹敵する強さになるにはあと10年かかるといわれていたが、AlphaGoはそれを10年前倒しで達成した。

 このAlphaGoの考え方や設計は、先に述べたような「インタラクティブなコミュニケーション」をAI化する方法論として応用可能なのではないかという大きな期待がもたれている。これが、囲碁AIであるAlphaGoがカンヌライオンズでイノベーション部門グランプリを受賞した評価ポイントだったのではないかと考えられる。

 では、「インタラクティブなコミュニケーション」の方法論として期待されるAlphaGoの中身(構築プロセス)はどのようになっているのか。次のページで整理して紹介していこう。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
AlphaGoはどう設計されてるのか? なぜ強いのか?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
マーケターのためのAI基礎講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)(デジタル アドバタイジング コンソーシアム)

DACは、インターネットに特化したデジタル広告ビジネスを展開しています。 広告枠のバイイングだけでなくクロスメディアプランニングや新たな広告商品開発、ソリューション提供など、インターネット広告に関するサービスを総合的に提供するデジタルエキスパートです。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/10/20 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25366

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング