クリック前のインプレッションのあり方を重視する
さらに具体的に、Netflixではどのような効果検証を行っているのか。
「従来の獲得型マーケティングだと、コンバージョンのためのラストクリックをベースに考えがちです。各媒体の評価もクリック直後のCVRやCPAといった目先の数字にとらわれがち。それでは新しいオリジナルコンテンツの需要創出にはつながりません。たとえば、第三者配信によるビュースルーのインプレッションを通じて、複数のコンバージョンがあったとします。その際、クリック前に遡り、過去のビュースルーについて検証していきます。我々の場合はラストクリックから●日までと共通の期間を定めて、インプレッションについて重みづけせず評価するようにしています」(鴨下氏)
こうしたメジャーメントを行うNetflixのような企業が増えていくことが、さらにビューアビリティーについての理解(=本質的な価値)を深めることになると、横山氏は期待を寄せる。
「Teadsフォーマットはユーザーへ最初からスキップの自由を与えることと、IAB規定のビューアビリティ規定に100%則った形式を提供しています。Netflixのような本質的な効果を最先端の技術を用いて計測する企業に実証頂くことで、インリードという新しいフォーマットへの関心が高まっていくことを期待します」(横山氏)
ビューアビリティーへの問題意識が、人材への投資を喚起
国内のビューアビリティーを巡る状況について、何か打開策はないのか? 最後に現場で奮闘する二人に、それぞれの見解を聞いた。
「人材への投資です。広告主が最大限、広告を活用したいならば、人材を割き、費用を充てることは大事です。これはデジタルマーケティング全体に言えることですが、現状のKPIでは本当の効果が見えてこないなど問題が生じています。KPIへの問題意識を持ち、何をすべきかを考えられる人材にこそ投資する必要があると考えています」(鴨下氏)
フォーマットを提供する横山氏からは、鴨下氏がいう人材の投資を促がす役割を、Teadsが担いたいのだと話す。
「人材に投資できる空気を醸成するには問題意識の輪を広げる必要があります。現状、日本国内では、ブランディングの広告主はターゲットリーチ単価の安さのみ、獲得系広告主だとラストクリックからのCPAという指標のみを追っているかと思いますが、ビューアビリティや滞在時間などの、ユーザーの広告接触態度の差を見るべきだと考えます。Teadsでは“価値のあるインプレッション”を数値化するためにVCPM,VCPCV(Viewable Cost Per Completed View)の指標化、Viewabilityのへの意識を高める動きを広告主と進めております」(横山氏)
2社から感じる期待からは、価値のあるインプレッションやVCPCVが普遍的となり、先進的と評された取り組みが、多くの企業にとって標準化する時代がそう遠くない未来に待っていると思わせる。
その時、Netflixがどのような先進的なアプローチを行っているか。Teadsがさらに進化を遂げたアウトストリームの動画広告フォーマットを開発しているか。2社の前途に注視したい。
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